ラフマニノフという存在
はじめに
こんにちは。アーニャです。随分とご無沙汰しておりました……。(恐らく)人生最後の夏休みをゆっくりと日本で過ごしていましたが、もう9月……あと10日ほどでモスクワに戻るので、ちょっとずつ脳みそを動かさないとなぁ〜ということで、ぼちぼちnoteを書き始めます。マイペースですが、よろしくお願いいたします。
ラフマニノフという存在
『ラフマニノフ』
ロシアを代表する作曲家である。厳密にはチャイコフスキーの方が日本では有名かもしれないが、ラフマニノフも例えば『ピアノ協奏曲第2番』とか『パガニーニの主題による変奏曲 第18変奏』とかはBGMやCMでは聞いたことがある人も多いかもしれない。
ラフマニノフという存在を認識したのは5,6歳くらいだったと思う。父親の持っていた何かのCDで『ピアノ協奏曲第3番 3楽章』の冒頭3分くらいが入っていたが、最初のフォルテッシモの『ジャン!!!』というオケの響きで一気に音楽に引きずり込まれて気がつけば心を奪われていた。確か。あ、ラフマニノフのこの協奏曲3楽章は確か中1の夏休み終日に溜まった課題を終わらせるために無限にリピートしていた記憶がある。緊迫感があるからか、めちゃくちゃ作業が捗る曲だ。最後のニ長調のコーダなんて宿題が終わる喜びそのものを表している気がする。は?
ほんっと、ラフマニノフが好きな人には申し訳ないのだが、私はラフマニノフという作曲家は『ピアノ協奏曲第3番』以外には好きになれなかった。甘ったるさといい、夢見がちな感じといい、映画音楽っぽいところといい……いや、他にもそういう作曲家は山ほどいるが、ラフマニノフだけは好きになれなかったのである。(ごめんなさい)。中学3年生の時にラフマニノフと同い年のスクリャービンという作曲家に出会ったのだが「お、ラフマニノフよりいいじゃん」って思ってたョ。
まぁしかしラフマニノフ、弾く人多いのよ。
『ピアノソナタ第2番』とか、何度聴いても「?????」だったし、『ピアノ協奏曲第2番』の有名な「ドーレドーレ」のテーマとか、良さがわからなくて。(本当にごめんなさい)。しかしみんな弾くからさ、初めは興味がない人でも会えば会う程気になってしまうことってあるじゃないですか、ソレになったのよ。みんなが弾くから気になる。みんなが弾くから弾いてみたくなる。
自分の意思でラフマニノフを初めて選曲したのは大学に入ってから。それこそコンクールの課題になったりしてみーんな弾いている『絵画的練習曲』から抜粋。これね、元々指も回らないし支えも弱い、広がらない手の持ち主の私にとってイジメのような曲でさ、「こんなん人が弾くもんじゃないわ」って思ったよ。
何を思ったのか『ピアノソナタ第2番』に初めて手を出したのも大学時代。相変わらず初版も1931年版も好きになれなかったが、スルタノフがホロヴィッツ版を弾いていたのを聴いて「かっこいい!」って思って憧れていたんだよね。レッスンにも何度か持って行ったがロシア人の先生方にも「お前にはまだ早い」と言われたし、弾けないしで諦めた。特別好きでもない作曲家の曲を背伸びしてやらなくてもいいじゃんって気持ちがあったから諦められたのかもしれない。
まぁしかし、歳を重ねて少しは大人になったからか、それとも聴く機会が多かったからか、少しずつ「ラフマニノフって悪くないんじゃない?」って思えるようになってきた。『ピアノ協奏曲第2番』の「ドーレドーレ」もまだよく理解できないけど、前よりは良さがわかるようになったかなぁ。
気がついたら好きになっていた『ピアノソナタ第2番(ホロヴィッツ版)』にも再挑戦して、モスクワでのレッスンで『ブラボー!偉い!とてもいいよ!』と言っていただけたけれど、やはり自分の実力不足を痛感する曲だった。まず音多すぎるし、3楽章忙しすぎるし。「一度本番載せたらもう一生弾かない、弾くもんか!」なんて思いながら練習していたけれど、先日本番に乗せてから、愛着が湧いちゃってた。「また弾きたいな」なんて。思えば『絵画的練習曲』もヒィヒィ言いながら練習したけれど、一度本番に乗せたら愛おしくなったんだよね。不思議。
ラフマニノフ……別に恋してるわけではないし、そんな好きなわけではない。ただ離れようとしてもなんだか気になってしまう、「弾きにくいわぁ嫌だわぁ」と思ってもなんだか憎めない、そんな存在。果たして心が通う日は来るのだろうか。何だかんだ言いながらも今後もずっと弾き続けていく作曲家になりそうだ。
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