Cold Diamond & Minkというバックバンドについて~Bobby Oroza新譜に寄せて~
先日配信リリースされたBobby Orozaの2ndアルバム”Get On the Otherside”がかなりツボに入ってしまい、もう何度もリピートしている。甘々な歌声と乾いたヴィンテージ・サウンドに蕩ける気分に浸るのは極上の音楽体験である。
さてこのアルバムにクレジットされているCold Diamond & Minkというバンド。字面にも演奏にも見覚え、聴き覚えがあり調べてみると、私が去年ドハマりしていたJeb Loy Nicholsのアルバムでもバックバンドとして名を連ねており、胸がざわついた。これは、見つけてしまったかもしれん、と。(たぶん遅い方だというのは百も承知だが)
そんな個人的な感動でもってここ数日で得た知識を知ったかぶりでnoteにしたためている次第。よろしければお付き合いください。
2021年のベストアルバムを選出した上記記事のJeb Loy Nicholsのレビューの抜き出しだが、「雑味」という言葉に補足すると、ドラムやらギターやらの楽器の半径3メートルくらいの空気がそのまま録音されているような、楽器と耳との間にある距離みたいなものも感じ取れるような音作りが私はとても気に入っていて、ソウル・ミュージックの黄金期を再現した演奏と共にその空気感のあるサウンドがこのバンドの醍醐味だと思う。
そもそもCold Diamond & Minkが何者なのかというと、フィンランドのインディソウル・レーベル、Timmion Recordsのお抱えスタジオバンド、らしい。主なメンバーはドラムのJukka Sarapää、ベースのSami Kantelinen、ギターとハモンドオルガンのSeppo Salmiの3人が中心。基本的にはTimmionに所属するアーティストとの共同プロデュースでアルバムや曲名にはfeat.で、レコードのラベルには”and Cold Diamond & Mink”とクレジットされることが多い。
とにかくこのTimmion Recordsを追いかけていれば大抵このバンドの演奏が聴けるようだ。
ジム・ジャームッシュの2016年の映画「パターソン」ではWillie Westとの共同プロデュースでリリースした”I'm Still a Man”が劇中で使用されている。レーベルの自己紹介文を見るにこれが結構セールスポイントらしい。
Cold Diamond & Minkの最大に心憎いところは手がけたアルバムのインスト盤を出すことである。現在、Jeb Loy Nicholsの”Jeb Loy”とCarlton Jumel Smithの”1634 Lexington Avenue”、のインストアルバムがそれぞれ”From Us to You… With Love”と”Here Today, Gone Tomorrow”というタイトルでリリースされており、またBobby Orozaのデビュー作"This Love"のインストもBobby Oroza名義でリリースされている。彼らの演奏を聴くにはこれ以上ないほどにもってこいな、サービス精神溢れる粋な計らい。
発端のBobby Orozaの話をほとんどしていないのだが、それは他の人の素晴らしい感想が既にあるし、月刊レビューの方でもやると思うけれども、とりあえず最高なので聴いてください。
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