多数派同調バイアス
早速ですが問題です!CAの任務とは何でしょうか?CAの任務は主に2つと言われています。
「保安要員」と「サービス要員」
お客様の目に見える部分としては、サービス要員としての姿が多いのではないかと思うのですが、お客様の命や安全を守るという任務もお客様には見えないところでフライトの度に行っています。
「荷物を所定の場所に入れてください」や「リクライニングを戻してください」など言われた経験はありませんか?
これも脱出するような緊急事態に備えてのお願いごとなのです✈︎
私が航空会社の考え方として、とても素晴らしいと思っていたことがあります。それは「誰か正しいのではなく何が正しいのか?」「人は思い込みをするもの人はミスをするもの」「ミスが発生するのはその背景にミスを起こす小さな要因がたくさんある」という、ヒューマンエラーを前提とした考え方を取り入れていること。
命が関わっている現場では、先輩が正しいとか、ルールが正しいという思い込みが時に危険な事を教わります。またコミュニケーションもとても大切です。
先輩が後輩に対して、威圧的であったり話しかけにくい態度を取ることは、不安全となる要因になることも教わります。
間違っていませんか?と言える関係性がお客様の命を守ります。CA時代には医療現場で実際に起こった医療事故の事例や過去に起こった航空機事故なども参考にしながら、人はどんな心理状態になるのか?人はどうやって思い込んでしまうのか?を学びました。
その中でも私が印象的だったのは、2003年に起こった韓国地下鉄火災事件。これは出火直後の乗客が撮った写真です。
写真を見てどう思われますか?明らか黒い煙が充満しているのに誰も逃げようとしていません。どうして逃げようとしないのか?
人は過去に経験したことがない時に、人と同じような行動をとろうとする心理が働くようです。
防災・危機管理心理学にはこのように記載してあります。
過去経験したことのない出来事が突然身の回りに出来したとき、その周囲に存在する多数の人の行動に左右されてしまうのです。それはその人が過去様々な局面で繰り返してきた行動パターンでもあるのです。どうして良いか分からない時ほかの人と同じ行動を取ることで乗り越えてきた経験、つまり迷ったときは周囲の人の動きを探りながら同じ行動をとることが安全と考える「多数派同調バイアス」の呪縛に心が支配されてしまうのです。
このように、自分が経験したことがないアクシデントや事故が起こると、人間の特徴としてこのような心理が働くことが分かっています。
こんな時には、多数派同調バイアスに陥りやすいという事を知っていれば多数派が正解ではないかもしれないという1つのバイアスを手放して思考停止にならずに考えられるかもしれません。