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続々・ただのイメの話

今朝見たのは、
「二足歩行する黒い牛が二頭、家の中に入ってきた夢」であった。

一頭は玄関に、一頭は家の中にいた。
前者は雄らしく、後者は雌らしかった。
舞台はどうやら実家(田舎で土地はあるので無駄に廊下の長い、ほぼ平家みたいな、二階は狭い家)のようなそうでないような、とりあえずいま住んでいるマンションでは到底ないような、木造の広い家であった。

相手はそこまで危害を加えてくるような気配でもなかったが、私は「牛って人も喰うんだっけ? 喰われないにしても、あの角でガツンとやられたらやばい」と非常な恐怖に駆られていた。
(ちなみに、幼稚園くらいの頃、母方の祖母の家の敷地内に牛小屋があり、まさに黒い牛が飼われていた。近くに寄るとむっしゃむっしゃと喰われそうな気がして怖かったものである)

なんとか家から出そうと、前庭に出られる大きな窓をガラリと開けてみたり、一頭が中に入っていった隙に玄関を広く開け放ってみたりしたが、一向に効果はなかった。
幸い相手はのそりのそりと部屋の中心を移動するので、壁伝いにささっと動けば見とがめられることはなかった。

——のだが、どうしようかと迷っているうち、次第に、二足歩行の牛だったはずのそれらが、だんだん類人猿の顔と体つきに変わってきた。

高校教員時代、教科書の文章(タイトルが思い出せないが、タンザニアのラエトリ遺跡で見つかった「猿人の足跡の化石」とか出てくる評論文)に登場したアウストラロピテクス・アファレンシスの写真をプリントに印刷して生徒に見せたことがあったが、まさにあの顔をしていた。

不思議と、牛のときは全く意思疎通など図れそうにもなかったのが、アウストラロピテクス・アファレンシスらしくなってからは、言葉を介さずとも表情と身振りでこちらの言いたいことが伝わるようになった。特に「雌らしいほう」と。

牛ではなくなっても、とにかく怖いことには変わりないので、なんとか外に出てもらおうと試みた。
しかし、彼らは前庭に出る窓には興味を示さない。
ならばと玄関まで手招きをして、どうやったか具体的には覚えていないが、「玄関の外がいかに素晴らしいか」のシミュレーションを身振り手振りで熱演してみせた。

すると、二頭(人?)のうち一頭(人?)、おそらく雌らしいの表情がにわかにパッと明るくなった。
彼女(?)の視線の先を追ってみたら、晴れた空に二重の虹が綺麗にかかっていた。

それでハッと意識が浮上したら、いつもの目覚ましアラームより30分早かった。
2週間くらい前からL字型に曲がった抱き枕を使うようになったのだが、その抱き枕を握りしめた状態で目が覚めた。

右腕が痛かった。


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つたみちあき
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