【サブスクで聴くGaita Zuliana:vol.5】Birimbaoのディスコグラフィー
Birimbaoは1981年に、Jerry Sánchez(ディレクター兼ボーカル)をはじめとするメンバーにより結成されたガイタのグループ。
1984年にヒット曲「Cántame una Gaita Hermano」で「Festival de Gaitas Virgilio Carruyo」の年間最優秀ガイタ賞を受賞。1987年にも大型ガイタフェス「Festival una Gaita para el Zulia」で優勝するなど、人気グループとして活動した。
そんなBirimbaoだが、彼らをサブスクで検索した人は、まずそのジャケットのヤル気の無さに肩透かしを喰らうことだろう。とても名盤とは思い難いアートワークの数々である。
しかし、ここで諦めてはいけない。こういう時は、ジャケットの隅に「Musart Group」のレーベル・マークがないかを確認するべきだ。
Musart Recordsは1948年に設立された、メキシコの老舗レコード・レーベルである。メキシコ国内の音楽はもちろんのこと、世界中の音楽レーベルからライセンス供与を受け、メキシコ盤をリリースしていることでも知られている。
詳しいライセンスの流れはよく分からないが、Birimbaoの諸作はMusartが権利を持っているようで、サブスクリプションサービスへの登録もMusartが行っている(GaitaではBirimbao以外のグループでも、Musartがサブスク登録をしているアルバムは何枚か存在する)。
サブスク登録をしてくれるだけならば有り難いのだが、ここでMusartの悪手が飛び出す。実は上記の「ヤル気のない」アルバムたちは、全て編集盤なのである。オリジナル作品とはアルバムタイトルも、ジャケットも異なるし、曲順も違う。
しかも、編集盤だからといってベスト盤的な、志向があって選曲されたアルバムという訳でもない。いろいろなアルバムの曲を、ただ無造作に混ぜただけの、意味のない編集盤なのである。なんで原盤をそのまま登録しないのか……。
ということで、今回は世直しとして、サブスクにあるBirimbaoの楽曲をオリジナル・アルバム通りに並び替えたプレイリストを作成した。
各アルバムの情報は各種ベネズエラ人のブログやDiscogsを参照しており、間違っている可能性もあるが、Musartに比べればマシである。また一部、曲が欠けているアルバムもあるが、それは私のせいではなくMusartのせいなので、文句はMusartへ言ってほしい(?)
『El Renacer de la Gaita』(1983)
2021年4月現在、サブスク上にあるカタログとしては最も古い83年作(参照元)。ちなみに82年にも全く同タイトルのアルバムを出している?(参照元)ようで、非常に紛らわしい。ベネズエラ人はアルバムタイトルに執着がなさすぎる。
『V Aniversario』(1986)
名曲「La Cucaña De Pepe Ochoa」を収録した5周年記念アルバム(参照元)。ガイタのグループは5年おきに周年記念アルバムを出すのが恒例であり、記念アルバムであるが故にゲストが豪華だったりして、クオリティが高いことが多い。
『Pootente』(1987)
「La V.O.C.」などを収録した87年作(参照元)。そこまで印象が強い盤ではないが、ジャケットはビビッドで良いと思う。
『Birimbao 88』(1988)
個人的にお気に入りの88年作(参照元)。前作までは目立たなかったJerry Sánchezの作曲センスが開花しており、彼のペンによる①③④が白眉である。ジャケットも良い(ちなみに「BRIMBAO」とは、スペイン語で口琴を意味する)。
『Birimbao 89』(1989)
あんまり印象の強くない89年作(参照元)。特に語ることなし。
『La Veterana』(1990)
ジャケットがかっこいい90年作(参照元)。楽曲はまあまあ。
これで世直しが完了した。めでたしめでたし。