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中立駒入門(2)

中立駒によるチェックメイト

前回は、中立駒の概念について記載しました。それを踏まえて今回は、中立駒によるチェックメイトについてみていきたいと思います。
前回記載の通り、中立駒によるチェックは、その駒自体を動かすことによる解除方法があります。特に、中立駒を1手前の位置に戻す手が可能であれば、それによってチェックメイトが解除されます。
つまり、中立駒によるチェックメイトは、その駒を元の位置に戻すことが不可能でなくてはなりません。そのための方法をいくつか見ていきましょう。
まずは、フェアリー駒、フェアリー条件を使わないものから。

ピンによるチェックメイト

これが最も一般的な方法です。

Pachl, F. Die Schwalbe 1995

H#2 (Duplex)

Black to Move: 1.nBxc2 nBb1 2.nRc1 nQxb1#
White to Move: 1.nRxb5 nRb7 2.nBc6 nQxb7#

最後のメイトの形に注目ください。チェックをかけている中立駒と同じラインに、同一ラインを動ける別の駒(これは中立駒である必要はなく、チェックをかけている手番側の駒であればよい)が置かれています。これにより、チェックをかけている中立駒はラインピンされています(別のラインに動けない)。よって、中立駒を動かす手はすべてチェックを解除できず、メイトになります。

プロモーションによるチェックメイト

プロモーションも、1手前の形に戻せない動きであるため、中立駒によるチェックメイトに利用できます。

Smulders, K. Commendation, Europe Echecs, 1970

#2

1.Sa6! (-)
1…Sd6 2.nPb8=nQ#
1…Sxa3,Sc3,Sd4 2.nPb8=nR#
(h2にKがいるので2.nPb8=nQ??はセルフチェックです)
1…Sc7 2.nPb8=nB# (2.nPb8=nQ? 3.nQxc8!)
1…Kxa6 2.nPb8=nS# (2.nPb8=nR? 3.nRxc8. nRb7!)
1…Rxa6 2.Rxb7#

Wong, P. 4th Comm., Phenix 1991

Ser-H#2, Duplex, b)Kg3->e4

Ser-H#2なので、黒、黒、白の順に指してメイトします。Duplexの場合はその逆の白、白、黒も併せて存在します。

a) Black to Move: 1.nPh1=nQ 2.nQa8 nPe7xf8=nQ#
White to Move: 1.nPe7xf8=nS 2.nSxe6 nPh1=nS#
b) Black to Move: 1.nPh1=nR 2.nRg1 nPe7xf8=nR#
White to Move: 1.nPe7xf8=nB 2.nBxh6 nPh1=nB#

R,Bのunderpromotionの意味付けは明快です。ちなみにwBf2がいないと、a)のWhite to Moveの解で3.nSf2!で逃れます。

その他

ポーンの特殊ルールを用いたこのようなものもあります。

#1

nPbxa3!でもnPb4!でもメイトです。(nPb3? nbPb2!はメイトになりません)

次回はフェアリー駒との組み合わせと、フェアリー条件との組み合わせを見ていきますが、それらに関しては組み合わせは膨大になるので一部を紹介することに留めます。

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