第14回
長編ヘルプメイトには一つの定石があります。それは、白がビショップ(と、必要に応じて少数のポーン)だけを持ち、そのビショップに対して様々なラインの効果が絡まることでひとつのメインラインをなすというものです。
F. Abdurahmanovic & b. ellinghoven, 2nd Prize Die Schwalbe, 1997
この図面に添えられた情報は作品に対する保証書です。Abdurahmanovicとellinghovenという両巨匠の名前に加え、
チェスプロブレムを作っているということを話すとしばしば訊かれる質問が、「どうやって作るのか」ということに関するものです。ここでは、対象をフェアリーに絞ってその手順の一端を書いていきたいと思います。
題材はこちらです。
H. Maeshima, ded. to Anirudh Daga
The Hopper Magazine (6), 2024
条件はEinstein Chess、設定はS#2で、2つのTryがついています。
Einstein Chessとは、ある駒が駒を取
第12回
第12回はスタディを取り上げます。スタディは最もOTBに近い分野であり、実戦の訓練として用いられることもありますが、もちろんそこに芸術性が込められた作品もあります。
Loyd, S. The Chess Monthly, 1860
視点は白番です。白番で、この局面からドローにします。
なお、チェスのエンドゲームには勝ち/ドローが決まるような駒の残り方があり、エンドゲームではそれらの結論を知っていることが求められます。(例えば、KQ対KやKR対Kは勝ち、KB対K
第7回
連載に間があいてしまったことをお詫びいたします。第7回は、ふたたび2手メイトから紹介します。
有名な作品なので、見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
Loshinsky, L. 1st-2nd HM Tijdschrift v. d. Nederlandse Schaakbond, 1930
Lev Loshinskyは20世紀初頭に活躍した大作家です。
本作はLoshinskyが17歳の時に発表されています。駒数はわずか13駒ですが、この作品に込め
第4回
第4回はプルーフゲームを紹介します。
プルーフゲームは、レトロとよばれるジャンルの一つで、実戦の初形から始めて与えられた図に至る手順を求めるものです。
このジャンルは橋本哲さんが世界的に有名な作家で、いくつもの新しいアイディアを含む作品や、既存のアイディアを深化させた作品を発表しています。
チェスの駒の動きを知っていれば誰でも解図に挑戦できることからチェスプロブレムを始められたばかりの方にも非常になじみやすく、それでいて奥の深いジャンルです。
Dmitri P