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「夢」とは「オーケストラの指揮者」である

■「夢に興味はあるけれど・・・」

あなたには、気になっている夢がひとつあります。
たぶん夢は毎夜みているでしょうが、普段はあまり覚えていません。そもそも夢にそれほどの興味があるわけでもありません。でも、その夢だけは鮮明に覚えていて、何か大切なことを自分に知らせようとしているのではないかという直観もあります。当然あなたはその夢の意味を知りたいと思っています。
あなたは、いわゆる市販の夢辞典を引いたり、場合によっては精神科医ないしカウンセラーなどの専門家を訪ねるかもしれません。
それで、何となくその夢の意味がわかったような気がします。少なくとも、大切なメッセージであることは理解できます。ただ、どこかまだモヤモヤしたところが残っていることも否定できません。いざ、そのメッセージを実生活に活かそうとなると、どうしていいのかわからなくなります。
これは、夢を契機にして自己成長・自己変革を遂げようとする人が必ず通る道だろうと思います。

■夢は人生の「軌道修正」役

夢の意味を読み解く作業は、ひとつの夢に対して行っても、もちろん効果があります。夢の読み解き、夢分析、夢解釈、何と呼ぼうとかまわないのですが(ただし、夢占いとは違います)、この取り組みは、即効性のあるセルフ・カウンセリングだと言えますが、その反面、あまりにも奥が深いので、一回で終わらせてしまうにはもったいなくもあります。
あなたが、自分の望む人生を生きたいと思うなら、叶えたい夢と寝てみる夢は、車の両輪だと思って間違いありません。叶えたい夢とは、未来からあなたを手招きするものであり、あなたの進むべき方向をある程度定めてくれるものでしょう。しかしあなたの心は揺れ動きます。細かい軌道修正が毎日必要になります。夢はまさに日々の軌道修正に役立つのです。

■夢はオーケストラの指揮者

あるいは、こう考えてもいいでしょう。
あなたは、自分の人生の完成形にかんして漠然とした全体像を思い描いています。それは、ジグソーパズルが完成したときの絵のようなものです。その絵を完成させるには、パズルのひとつひとつのピースを集め、そのピースの定位置を探し、ひとつひとつ土台にはめていく必要があります。あるひとつの夢の意味を読み解くことは、ひとつのピースを土台の定位置に置いたことを意味するかもしれません(もちろん、後になってその位置が違うことがわかったら、置き換えることはできますが)。
しかし、これができるためには、あなたは全体の絵の完成形を細部にわたって知っている必要があります。「このピースは、この土台のどの座標位置にはまるのか」といった具合です。しかし、そんな芸当ができる人はいません。
では、もしあなたの夢が、まるでオーケストラの指揮者のように、どのタイミングでどのピースをどこにはめればいいかを知っているとしたら?
私は「インテグラル夢学」において、夢がどの程度あなた自身について、あるいはあなたの人生全体について知っているかを構造的に示したつもりです。理論的に言うなら、「すべてを知っている」と思ってまず間違いありません。

■トータルな夢日記が教えてくれるもの

夢は当然のことながら、あなたの無意識から発生してくるものです。そして、自己成長・自己変革とは、自分の無意識の中身をひとつひとつ意識化していくプロセスにほかなりません。あなたがこの作業を、もっとも効果的に、順番通り、間違いなく進めたいなら、オーケストラ全体のことをよく知っている指揮者の言い分に、注意深く耳を傾けませんか?
私は、「インテグラル夢学」をまとめるにあたり、22年間の自分の夢日記を紐解き、インテグラル理論にのっとり、つぶさに分析してみました。すると、その時々の自分の成長課題が、やさしいものから難しいものへ、優先度の高い順に提示されていることがわかりました。
ひとつの課題がクリアされれば、その成果を土台にして、より高度な課題がその上に積み上げられる、といった具合です。つまり、日々成長していく「自己」の構造とは、ひとつのかたまりというよりは、堆積した「地層」を形成しているものなのです。

「私の人生とは、どのようなものか?」
この大いなる謎を解こうとするとき、ひとつの夢の意味に、徹底的にこだわるのもアリです。
ひとつの夢の意味が完全にはつかめないなら、もっと大きな「文脈」で夢をとらえてみるのもアリです。夢日記をつける効用とは、ここにあります。1カ月、1年、10年の夢日記をトータルで紐解くなら、あなたというジグソーパズルの全体像のより広い範囲を俯瞰することができるのです。
自分の人生を「成功」に導きたいなら、「成長」は必須条件です。いかなる人も「未熟」なまま、人生を成功させることはできません。あなたが夢日記をトータルで紐解くなら、必ずやそこに自分の成長の足跡を見出すでしょう。


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アンソニー  K
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