夢と魂の関係(夢の学び11)
どのようなアプローチを取ろうが、夢を突き詰めていくと、「魂」の問題に必ず行き当たります。
「魂とは何か」を考えるにあたっては、ひとつの大きな目安があります。自分にこう問いかけてみてください。
「自分から心と体を取り除けて、まだ後に残るものとは?」
人間とは何かを語るとき、「心と体」という二元論で考えがちですが、そこをあえて第三の要素を考慮していただきたいのです。
たとえば、体は心の赴く方向へしか動けません。心に逆らって体が勝手に動くなら、それは深刻な病か、あるいは自分にウソをついているかです。
しかし、心は常に揺れ動きます。なかなか方向が定まらないのです。そこに葛藤が生じます。自分の心の中で、複数の自分が対立し、戦っているような感覚を誰しも味わったことがあるでしょう。天使と悪魔が同時にあなたの耳に囁くのです。この状態では、一歩も前へ進めません。
しかし、そうした対立や葛藤を、どこかでまったく別の「もう一人の自分」が冷静に見ているような感覚を、これまた誰しもが味わったことがあるのではないでしょうか。
その「もう一人の自分」は、状況を冷静に見ながらもそれに左右されず、「いつもの自分」の斜め上の方からすべてを俯瞰で見ているように感じます。
この「もう一人の自分」は、人生の答えを知っているようです。選択の基準を与え、評価し、修正を迫ったりもします。心や体の事情を忖度せず、ときに強迫的に振る舞ったりもします。
自分が毎夜みる夢も、まるでこの「もう一人の自分」の代弁をしているようにさえ感じます。
たとえば、ある日あなたは見知らぬ人物を夢でみます。その人物は、あなたに対して非常に強迫的に振る舞い、場合によっては、あなたの命を差し出すように要求しさえするのです。それでも、あなたはその人物に逆らえないことを何となく悟っています。
そんな悪夢から目を覚ましたあなたは、はたと考えるのです。
「なぜ私は、自分の死を自分に要求するのか。そしてなぜ私はその要求に逆らえないのか?」
なぜなら、夢に登場するあらゆる人物は、自分の人格の一部であることを、あなたは知っているからです。そして、夢の中の自分の死は、再生を意味することも、あなたは知っているからです。だからこそ夢は、ときに現実生活においても、常識にとらわれず大胆に振る舞うことを要求してくるのです。
したがって、上記の問いは、次のように言い換えられます。
「私はなぜ生まれ変わる必要があるのか?」
「夢の王国憲法第五条」は、次の条文で始まります。
『夢にとって魂とは、「夢・製造工場」の工場長のようなものである。』
肉体は船、心は舵、魂は羅針盤です。だからこそあなたは、夢の言い分に耳を傾けている限り、道に迷わずに済むのです。
夢の意味を読み解くことは、自分の魂の意図を酌み取り、自分の魂の正体を見極めることにほかなりません。