47都道府県ステート一本で 1)神奈川県

初めて「巡回検診」なるものの診療を行ったのは神奈川県の某サービス業の企業様であった。
それまで、日本有数の医者人口比率の高さを誇る町で、専門分野の診療に従事していた私は、診察室での診療と検診会場での「診察」の違いがまだわからなかった。
なごやかに始まった「診察」。高血圧や数値の異常、また受診者の質問に対し、話が切れるところまで親身になって対応。「一度限りの巡回でも、きちんとしてもらったと喜んでいただけるようにしよう」
と思いきや、、

「センセ!!巻いて!巻いて〜!!!」
対面のカーテンの陰からかなりの圧力を伴い、腕を回すハンドサインと口パクが見えた。

考えたら、ここは診断治療の場でもカウンセリングでもない。「一人30秒位」で最小限必要な項目を評価する場である。
そもそも検診自体、「無症状だが潜在的に病気が隠れていないか」を目の粗いザルでスクリーニングするもの。主治医への疑問や体調不良の心配の解消は、病院に任せるべきなのだ。
好い人ぶっても求められている業務すらこなせないのは論外である。
疑問に答えたいなら、時間内に終わるよう、言葉と内容を吟味する必要がある。

最初に「診かたを変える必要がある」ことを思い知った業務であった。

なお、支給交通費について、記載外の規定を後から告げられることがあった。派遣会社に間に入っていただき事なきをえたが、案件を受けるときは要注意という勉強にもなった。

業務:一般検診 180人/6hr/2箇所

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