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47都道府県ステート一本で 1)神奈川県

初めて「巡回検診」なるものの診療を行ったのは神奈川県の某サービス業の企業様であった。 それまで、日本有数の医者人口比率の高さを誇る町で、専門分野の診療に従事していた私は、診察室での診療と検診会場での「診察」の違いがまだわからなかった。 なごやかに始まった「診察」。高血圧や数値の異常、また受診者の質問に対し、話が切れるところまで親身になって対応。「一度限りの巡回でも、きちんとしてもらったと喜んでいただけるようにしよう」 と思いきや、、 「センセ!!巻いて!巻いて〜!!!」 対

    • ものがなくても!お金をかけずに!感染予防

      マスク、アルコール、相変わらず買えません。 トイレに入っても、石鹸がないケースもあります。 そんな中でも、やむを得ず外出しなければならないことがあるかもしれません。 一人でできる予防行動を、備忘録として書き留めてみました。 日本は多くの場所で十分水道が使えるのが幸いです。 なお、自分がうつらないことと、人にうつさないことは、結局共通の目的と思いますので区別せず書いてみます。 1. 咳エチケット。 咳やくしゃみだけでなく、おしゃべりでも飛沫はとびます。 トーク1m, 咳2,

      • 出るなら「お口チャック」。出来ないなら出ないで。

        この二週間あまりで、海外での危機報道と逆行するかのように国内での奇妙な緩みを感じています。 著名人が次々と感染を公表し、感染者数・死者数とも急増しているなかで、公共交通機関や街中では楽しげにおしゃべりしながら行き交う人々がむしろ増えている印象でした。 東京など主要都市では外出「自粛」要請や一部施設の閉鎖が始まりました。 一方で、航空会社や旅行関係などで、旅行客を増やす試みも宣伝されています。 それぞれの立場で死活問題でもあり、完全に移動を止めることは、誤解を覚悟でいえば「ど

        • マスクと消毒用エタノールを、感染予防目的で頼るべきでない理由。(新型コロナウイルス考4)

          先日、パンデミックとアナウンスされた新型コロナウイルス。 様々な分野で影響が続いています。 マスクはあいかわらず店頭から消えたままで、消毒用エタノールもしかり。次は次亜鉛素酸ナトリウムでしょうか。 医療現場で不足する例がでたり、本来使用すべき人達の手に届かないなど、ウイルス拡散予防の視点からは本末転倒の事態が起こっています。 多人数のイベント等を一律に中止しても、拡散させる側に適切な行動をしてもらうようにしないと、結局いつどこでウイルスと接触するかわかりません。 不安に煽られ

        47都道府県ステート一本で 1)神奈川県

        • ものがなくても!お金をかけずに!感染予防

        • 出るなら「お口チャック」。出来ないなら出ないで。

        • マスクと消毒用エタノールを、感染予防目的で頼るべきでない理由。(新型コロナウイルス考4)

          新型コロナウイルス考 その3:マスクについて

          あいかわらずお店からはマスクが消えています。 私も、私用の外出では自宅に残っていたものを細々と再利用しながら使っていますが、このままではそろそろ使い果たしそうです。 花粉症もあるのでマスク着用時の安心感をしみじみ噛みしめるこの頃です。 さて、新型コロナウイルス感染の流行が明らかになってから起こったマスク不足。 そもそもマスクはコロナウイルス感染に有効?無効? という話です。 すでにたくさんの方々が発信されており、多分に重複しますが、私の考えをお伝えします。 マスクはコロナ

          新型コロナウイルス考 その3:マスクについて

          新型コロナウイルス考 その2

          まだまだ先のみえない新型コロナウイルス感染。仕事や学業を始め、生活に様々な影響を及ぼしています。 大勢が集まる機会や人の移動を制限したり、陽性者を隔離することなどで被害を減らす対策がとられていますが、早期にシビアな封じ込めを行った国や地域以外は、日々新たな感染が報告されています。 情報が増えるにつれ、徐々にウイルスの性質がわかってきてはいます。 ひとつは、高齢者や特定の疾患をお持ちの方以外、言い換えれば若い人やいわゆる「健康なひと」は感染しても重症になったり命を落とすことは

          新型コロナウイルス考 その2

          新型コロナウイルス考

          連日、新型コロナウイルスについて様々なニュースが流れています。医療過疎地の外来診察室も例外ではなく、発熱や風邪の症状で来院された方と会話していると、インフルエンザへの対応に忙しくしていた日々が遠いものにすら感じます。 世界地図で見れば、アメリカではインフルエンザが深刻ですし、「そもそもその中にコロナが混在しているのではないか」との意見も聞かれます。 いつ終息するのか、それまでにどれだけの被害がでるのか。 まだ先は見えない今、市中にいて自分や大切な人達を守り、被害を最小限にする

          新型コロナウイルス考

          沈まぬ先の杖

          凍った海の上を歩くときは、いくつかの注意点がありました。 その一つが、氷の割れ目や薄くなった部分に落ちてしまわないよう、先に細長い棒で進路を衝いて確かめながら歩くことでした。 雪がふると、氷の亀裂や、乗ったら踏み抜いてしまう薄氷が隠れてしまいます。 周りの景色や、何かに気をとられがちな時はつい忘れてしまいそうになりました。 普段の生活ではあまり同じような機会はありませんが、この「確かめながら進む」心構えは役にたつことがあると思います。

          沈まぬ先の杖

          今夜はカレー@700m先

          私が滞在準備をしていた時期、「南極は空気がきれいなので、700mくらい離れたところにいて、基地で作っているカレーの匂いがわかった」という話を聞いた。 幾人かの先輩に尋ねると、同意する人、そんなわけないやろという声、両方あった。 何度か基地周囲の海氷からくんくんと鼻をきかせてみたが、私にはわからなかった。 風向きや天気も多分に影響するのかもしれない。 調理のタイミングもあるだろう。 ただ、町に戻ったとき、空気の匂いが気になり、人波に酔い、「静かの音」と透明な無臭の空気が懐かしか

          今夜はカレー@700m先

          雪焼け

          ウィンタースポーツをする方にはお馴染みのことですが、雪景色の中は、真冬でもかなり日焼けします。 忘れがちなのは目。 顔は日焼け止めを塗っても、ゴーグルやサングラスをつい外す時間が長いと、目が紫外線で痛んでしまいます。 屋外では紫外線を遮断するものをかけるのがお勧めです。 もしうっかり日焼けして痛みがでた場合は早目の受診を。

          マスク着用時のメガネのくもり対策

          寒いところでは、マスクの上武から息が漏れ、その水分でメガネがくもります。しかも、レンズの上で凍ります。 ゴーグルもしかり。紫外線から目を守らなくてはならないのに、度々外して、指の体温で霜を溶かして拭く。 鬱陶しいことこの上ありません。 マスクフィット用の針金が入っていても、骨格で隙間ができるのか、効果は一時的でした。メガネパッドで押さえるようにマスクを装着しても一緒。 そんな時は、ガーゼマスクを下にはめると、鼻からの水分がガーゼに吸収されるので曇りが軽減しました。 または、サ

          マスク着用時のメガネのくもり対策

          オーロラとマスカラ

          ここ数年はご無沙汰ですが、オーロラを眺めにいくのが好きです。冬が近づくと、多くの旅行会社でツアーが発売されます。 オーロラがでるまでは、大抵暖かい待機部屋を準備してくれているのでそこで過ごしますが、いったん外に出ると意外に長時間氷点下にいたりします。吐く息の水分がまつ毛や前髪で凍ることもあります。(寒冷地にお住まいの方にはお馴染みかもしれませんが。) 「オーロラを一緒にみた人とは幸せになれる」とのいい伝えなどもあり、バッチリメイクをきめる女性もいらっしゃるでしょう。 しか

          オーロラとマスカラ

          歯の詰め物@寒冷地

          もうひと昔近く前のことになりますが、「南極滞在中は、歯の詰め物がとれやすい」という噂がありました。 何故か? 手入れが疎かになったり、免疫力の変化で詰めた周囲が虫歯になりやすいためとか、寒暖差により金属にわすかに歪みがでるなどいくつかの説がありましたが、確定的ではありませんでした。 たしかに、詰め物の平均耐久年数をきくと、一年でとれた人数の割合は国内のそれより多いと思いました。 しかし、とれた時に初めて患部をみるので、虫歯が越冬中に加速したのか国内からの延長なのかはわかりませ

          歯の詰め物@寒冷地

          カップ麺へのリスペクト

          突然ですが、ワタクシ、カップ麺が好きです。 より正確には、リスペクトしており、時々感謝の念を新たにいただいています。 それはある出来事がきっかけです。 南極越冬中、リフレッシュのため数名ずつ交代で日帰りの野外遠足にいく機会がありました。 池の水もすでに厚く凍っていた時期、ある風の強い日でした。 朝、各自でおにぎりを作ります。その時、誰ともなく「ホイルの外側にカイロを貼っておいたらよいのではないか」という話になりました。 カイロをモノにつけても力を発揮してはくれません。 今は

          カップ麺へのリスペクト

          極地で存在感を放った物品たち

          南極で越冬する際は、4ヶ月余りを物品の準備に費やします。一年2ヶ月の基地生活中、何が起こっても脱出不可能な期間もあるので、研究者は勿論、設営という基地の維持管理部門の各担当者は持ち込み物品を厳しく吟味します。 というわけで、日常生活に必要なものは概ね揃っています。 (越冬終盤には足りなくなるものがちらほら出ますが) その中でも、日本で期待される以上の働きをみせていたのが白シーツとガムテープでした。 シーツは、テーブルクロスや暖簾、間仕切りなどに転用。 ガムテープは、名札や

          極地で存在感を放った物品たち

          診察室は地球です。

          はじめまして。 現在、全国各地の医療機関等で診療業務をさせていただいています。業務や移動のなかで日々感じることのほか、過去に渡った南極やアフリカなどでの経験もつづってまいります。気楽にお読みいただければ嬉しく存じます。 よろしくお願いいたします。

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