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ちょっと困った!院内対応を熟練した先生から学ぶスライド3選
病棟管理をしているとさまざまなイベントが起こりますよね。病気や治療についての医学書は沢山ありますが、時には医学書には載っていないようなことに困ってしまうことがあるかもしれません。
今回は、特に院内対応をしていて対応に困ってしまった時に読みたいAntaa Slideを紹介します。
入院中に担当患者さんが発熱、頻度が高い5大感染症をまずは鑑別
入院時に熱はなかったのに原病が治りかけてきたところで発熱、上級医がいない時に担当患者さんが発熱……あるあるですよね。発熱の最大の鑑別疾患は感染症、特に敗血症は見逃せない病態です。Lemon先生のスライドで発熱患者さんの対応について勉強しましょう。
スライドはよく起こる症例の提示から始まります。全身状態が不良だった場合、まずは敗血症を鑑別します。Airway・Breathing・Circulationの異常がある場合には、すぐに上級医や医療スタッフを呼んで緊急対応をしましょう。
血圧は保たれているけど、脈拍数と呼吸数が早くて高熱……という時はどうでしょうか。収縮期血圧100mmHg以下、呼吸数22回以上、意識の変容の項目をチェックして、qSOFAのスコアリングをしてみましょう。qSOFAの項目はバイタルサインに含まれるので、病棟で呼ばれた際は必ず確認しますよね。2021年の敗血症診療ガイドラインでは、qSOFAで敗血症のあり・なしを決めることは推奨できないということになりましたが(詳細は【SSCG2021準拠】最新の敗血症診療のまとめ【2022年5月最新版】をご参照ください)、それでも敗血症を疑うためのツールとしては有用です。ぜひqSOFAを使ってみましょう。
感染症とわかったら、まずは頻度の高い臓器と疾患から鑑別します。
スライドでは5大感染症の臓器別として、以下の5つ。
肺
創
腸
尿
血
疾患別の7Dとして、以下の7つをチェックすることが推奨されています。
Device
Decubitus(褥瘡)
Debris
Diarrhea
Drug
DVT/PE
CPPD
感染症もcommon is commonですので、頻度の高いものから鑑別していきましょう。入院中は点滴やCVなどが留置されていることも多く、体内デバイスが感染源になる可能性については留意しておく必要がありますね。
患者さんが眠れないという相談の電話「とりあえずベンゾ」はやめよう
当直中、病棟からの相談で多いものとして「患者さんが眠れませんが、どうすればいいですか」という不眠・不穏時指示があります。その場で対応できても、本当に正しかったのか、なかなか勉強する機会ってないですよね。不眠不穏時の指示が自信を持ってだせない方には、やまて先生の【まずはコレだけ】のスライドを紹介します。
スライドでは前提として「不必要に薬を盛らない」という点に言及しています。どの薬を使うかに終始してしまいがちですが、まずは患者さんの病気やリスク、日中の状態などにも注意してみましょう。
睡眠障害のパターンにあわせた処方や薬の特徴が記載されているスライドは、非常にわかりやすいです。不眠・不穏の方針・処方・指示簿のスライドに従うと、患者さんに合った薬剤選択をすることができます。
夜間せん妄の患者さんの場合には、夜にする緊急処方と同時に、翌日にも前日使用した量を定期内服として処方し、せん妄の予防対策をおこなう方法が紹介されています。その場の対応だけではなく、不穏・せん妄を起こさないように整えるのも大事なポイントですね。
撮影方法を変えることも!画像検査の目的はしっかり書こう
病棟からの画像検査依頼をすることも多いと思いますが、みなさん、検査目的は書いていますか?画像検査のオーダーの仕方は教えてもらっても、検査目的の書き方なんてなかなか教わりませんよね。検査目的を書く理由を知りたい方に、放射線科のうた先生のスライドを紹介します。
書いてほしい項目として、以下があげられています。
疑い病名
鑑別疾患
手術歴
簡単な経過(特に外傷では受傷起点)
まったく鑑別疾患がない状態で画像を撮影することは検査前確率が低く、検査の有用性を検査のリスク(被曝やコストなど)が超えないため推奨されません。疑い病名や必ず否定したい病気などは記載しましょう。
「カルテみればわかるでしょ」は不適切な検査やエラーのもとになるため、注意したいですね。読影医の先生からの返信である読影レポートもしっかり確認して、診療にいかしましょう。
困った時にはAntaa slideを探してみてはいかがでしょうか
病棟管理をしていると、教科書には載っていないちょっとしたことだけれど困ることってありますよね。その場では先輩などに聴いて何とかなるかもしれませんが、なかなか体系的に教えてもらうことがありません。
そのような困った時こそAntaa Slideはおすすめです。多くの科の先生(中にはその筋の非常に有名な先生も)が参加されており、スライドの内容も王道の医学からマイナートラブルの対処法など幅広いです。ぜひ上手に活用しましょう。
執筆:すたば@救急医