「マネジメント」Antaa Academia supported by MEDIVA第4期DAY2開催レポート
このnoteでは、「経営やマネジメントを学ぶ」Antaa Academia supported by MEDIVAの講義内容を抜粋してご紹介します。
第4期DAY2で設定された課題図書はドラッガー著の「マネジメント」です。
講師小松さんの、課題図書を医療機関に結びつける講義の抜粋を中心に、2021年8月28日に行われたDAY2のレポートをお届けします。
◆Antaa Academiaとは
次代の医療機関経営/部門運営の中核を担うマネジメント層を育成することを目的として、30代〜40代前半を中心とした若手医師を対象に、経営やマネジメントにおいて、翌日からすぐに活用できる実践的なノウハウや考え方を身につけることを目的としています。
毎月第4土曜日の19:00からZoomで開催される月例会では、各回ごとに課題図書が設定され、課題図書の振り返りレクチャー、講師小松さんの課題図書を医療機関に結びつける講義、参加者同士のディスカッションなど、書籍をもとに全体での学びを行っています。
◆講師紹介
小松大介
◆課題図書振り返り紙芝居レクチャー
課題図書をまだ読みこめていない人でも安心!紙芝居レクチャーで本の概要を振り返ります。
今回は、メディヴァ安松さん作成の紙芝居とともに内容をおさらいしていきます。
まずドラッガーはマネジメントの役割として3つを挙げています。
この3つの役割の前提のなるのが企業の目的である、マーケティングとイノベーションです。
イノベーションでは、全く新しいものを作り出すだけでなく、今あるものを効果的に活用することの重要性も述べています。
さらにマネジメントをうまく機能させていくためには、マネージャーの2つの役割と5つの仕事があるそうです。
トップマネジメントは、そこから全体感を持った視点で動くことが大きな役割の一つとなります。
トップマネジメントになると求められる役割が変わるので、自分たちのマネジメントの立ち位置に基づいてしっかり考えることが重要です。
◆DAY1「イシューからはじめよ」振り返り
今回の課題図書の講義に入る前に、前回DAY1での課題の「イシューからはじめよ」実践として、
「実際に病院内で問題が起こった際に、その問題のイシューを考え優先順位をつけて対応をしてみること」
についての振り返りのディスカッションを行いました。
チームに分かれて、自分なりに犬の道やイシューをどう捉えたか、実践してきたことを元に発表していきます。
前回のDAY1の模様はこちらから御覧ください。
Antaa Academia supported by MEDIVA第4期DAY1「イシューからはじめよ」開催レポート
◆「マネジメント」講義1
今回課題図書として選んだこの「マネジメント」は、タイトルの通り、4期のテーマの中核であるマネジメントがテーマです。
古典とも言えるこの本ですが、改めて見ると、事例や具体的は古いところがあるものの、基本的なコンセプトやロジックはそのまま現代でも当てはまるものが多いことに気づきます。
この本では、まず、マネジメントの使命には3つの役割があることが書かれています。
ドラッガーの提唱するこのマネジメントの使命は医療の現場にも当てはめることができます。
医師であることは社会貢献につながりますが、医療と社会常識のバランスが崩れる事例があることを危惧していました。
小松さんはこの3つの使命に加えて、医療のあり方は時代ともに変わるものであることから、4つ目の役割も提唱しています。
治療技術やインフォームドコンセントだけでなく、今後は高齢化や働き方の変化にも応じて対応していくことも医療が果たすべき役割となります。
次に企業の基本的な機能についても、医療の現場に読み替えて解説しています。
この2つは医療の現場でもここ数年でも意識が変わってきているところで、治すだけではなくQOLの視点からも一人一人のニーズを捉えることが重要になってきています。
それに伴って異なるニーズに対応した医療の提供も必要となってくるでしょう。
次に利益に対する考え方です。
この本では利益だけを追いかけろとは一言も書いていません。
利益とはあくまでも成果の一つです。
これは医療にも言えることで、利益を出すのは必要で、人件費や薬代を上回る価値が生まれたという成果を表すものとも言えます。
しかし、医療は利益だけを追い求めると本末転倒になってしまいます。
どうしても医療は制度的に赤字になりやすい事業ですが、利益がないと将来への投資もできません。
利益があって初めて付加的サービスが可能になるのは、医療も他のビジネスも変わらないという事がわかります。
本書で触れていた公的機関の成功の条件についても、医療の現場では矛盾が起こるため、最善の医療と利益とのバランスが必要であり、その両方を追いかけ続けることが求められます。
そのため、必然的に、明確な目標と尺度も2つ必要になってきます。
◆ディスカッションタイム1
ここで講義1を踏まえてディスカッションタイムとなります。
テーマは
自分が所属管理している何らかのチームにおいて、マネジメント上の課題やかけていた視点などを整理し、発表する
というもの。
ドラッガーの本を読み、小松さんの講義を聞いた後では、また新たな視点が見つかることもあるかもしれません。
各自の視点をそれぞれが共有することで考えが広がっていくのも、ディスカッションの良さですね。
◆「マネジメント」講義2
ディスカッションを挟んで、さらに「マネジメント」後半を読み解いていきます。
後半の最初のテーマは人を活かすことについて。
挙げた5つの次元はすべて医療の現場でも当てはめる事ができます。
経済的な次元では、過疎地域では医師が足りない一方で、医学部の新設が増えているため医師の数は増えていく傾向にあり、需供の観点から給料面への影響にも危惧していました。
次の、働きがいの条件のところでは、外来の治療で来ている患者さんの場合、治療出来たのか別の病院に行ったのかがわかりにくく、フィードバックしづらいという問題点をあげ、これに関しては、受講者の方から
「他の病院に行った人へのフィードバックを得る方法は?」という質問が飛び出し、これに関しては一番難しい問題だと小松さんも悩みながらも回答してくれていました。
「人を活かす」というテーマの締めくくりでは、人は最大の資産であるとし、マネジメントの肝が人と活かしきることだと再確認しました。
次の社会的責任では、近年の高齢化やコロナ禍の様々な問題に代表されるように、医療の分野だけでなく、医療が与える社会的責任も考えた上での対応が求められていると述べています。
議題は更に具体的なマネージャーのあり方やマネジメントの技能に移ります。
それぞれの項目について、医療の現場での例を用いて、要点を簡潔にまとめてくださいました。
人事に関する解説では、
「マネージャーの役職についた後にふさわしくないと思った時、その役職からおろすのが難しく、どう伝えたらいいのか」という質問が上がりました。
小松さんはこの質問に対して、ポジションごとの適正というものがあるので、相手にもしっかりと伝えるとべきだと考えていると述べました。
ただし、重要なのは、「そこに愛があるかどうか。」
相手のことを考えたうえであれば、給料面などを考慮した上でポジションを変えることも検討するべきだと言います。
そして、それ以上に大事なのは、そうならないための事前判断であるとし、適正判断を行う具体的例もアドバイスされました。
続いて本書で印象的だったのが、コミュニケーションの4つの原理です。
「コミュニケーションは、知覚、期待、要求であり、情報ではない」というのは本書の中でも特に有名なキーワードです。
医療の現場に当てはめると、患者さんの検査項目の数値や、前日の行動の振り返りなど、過去の情報の振り返りだけでは、申し送りとして書面でも充分です。
そこに要求や期待が入っているのであれば、しっかりとコミュニケーションをとって会話をしたほうがいい、です。
そして終盤、管理手段や組織の条件、トップマネジメントの役割についてもスライドを元に丁寧に解説してくれました。
最後に結論として「マネジメントについて」を総括しています。
◆ディスカッションタイム2
本のボリュームもなかなかのものだったこともあり、講義もかなり熱いものとなりました。
「この講義を聞いて、改めて身近なマネジメント上の課題や書けていた視点について考える」
というのが、2回目のディスカッションのテーマです。
1回目のディスカッションと比べてあらたな気付きも交えながら、各チームで発表を行っていきます。
講義では、ディスカッション後、各チームがまとめたノートをSlack内で見ることが出来ます。
自分のチーム以外でどんな意見があったのかを共有できるのも、この講義の魅力の一つです。
◆次回にむけて
次回の課題図書は、園部 浩司著「ゼロから学べる ファシリテーション超技術」です。
今回と比べてだいぶライトな本ですが、チームのディスカッションや合意形成、スタッフを動かす上で人と人をコミュニケーションとりながらうまく動かす技術を学べる本となっています。
マネジメントの後だとちょっと物足りなく感じる方は、希望者で月に2回程度のペースで21時から行われている、新書や名著を一緒に読み合う読書会にもぜひご参加くださいね。
それでは次回DAY3のレポートもお楽しみに!