日本酒のお話 〜 湖雪(フーシェ)と日吉大社
不思議なことというのはあるものです。素人のビリヤードみたいに、狙った玉と違うのがポケットに入る様なことが起きる訳でして。
やってきたのは滋賀県大津市の坂本というところにある日吉大社です。
分かりにくい写真ですが、ここには神様の使いとされる白い毛のお猿さんがいます。
日吉大社は大山咋神を主祭神とする神社です。大山咋神は比叡山の守り神でもあり、弓矢の神様としても知られています。なので京阪神界隈の大学の弓道部にいた人などはよくご存知かもしれません。
実際に行くと爽やかで、立派なお社が並ぶ広い神社です。
で、この白い毛の神猿から連想したのか、ふと白く濁ったお酒が頭に浮かびました。お参りを済ませて帰路に着こうとして何気に気になって検索したら…ありました。
平井商店さんの純米活性濁り生酒
浅茅生 湖雪
です。買う際に開栓時の注意事項を言われました。なんせ中で発泡してる生酒ですから、下手にゆすって何も考えずに栓を開けたら、中のお酒が吹き出してしまいます。実際に開栓する時は、一旦プシュッというところまで開けたら速やかに閉め直し、瓶の中の様子を見ながら落ち着いた頃にまた栓をゆるめ、また閉めて…を2回くらい繰り返しました。おかげで酒が吹き出さずに済みました。
こういう日本酒を飲んだのは実は初めてです。日吉大社の白い神猿を見て連想したのか何なのかは、正直自分でもよく分かりませんが、まぁそういうことにしておきましょう(笑)
まずひと口目。派手に発泡してるだけあって、シュワシュワ感の爽快さと甘めの口当たりが不思議なお酒です。しかし果実酒やらリキュール類のハイボールの様な炭酸感とは全く別物です。生き物としての発酵物といいますか、そんな感じです。それでいて実のところ純米酒特有の腰の強さの片鱗を感じさせます。
アルコール度数13度と少し低めで、発泡している感覚、そして甘めの口当たりの三位一体となっている状態だと1合くらいあっという間です。日本酒に対する感覚が変わるタイプのお酒ですが、上で記した通り実は素性は純米酒の重さが隠れています。
このお酒は開栓したらその日のうちに飲み切ってしまうことをお勧めします。
なんせ最初のひと口目の新感覚と飲みやすさに個性がありますから、あのシュワシュワ感が抜け切ってしまうと、舌や口内が覚えているトータルの味わいのバランスが崩れて、あれっ?という別のお酒を飲んでいる様な感覚がするのです。これはいかにも勿体ない。それなら湖雪でなくても構わない訳ですから。
純米吟醸の清酒の甘めでフルーティーな最初の口当たりは、半分残しておいた瓶から翌日グラスに注いで飲んでも変わりません。しかし発泡する濁り酒というのは、風味が変わってしまうことを学びました。
「なぁに、四合瓶だろ?夕食時に開栓すれば、寝るまでに飲み切っちゃうよ。」
という人は心配ないと思いますが、厚生労働省が推奨する1日の適量がまさにちょうどいいという人や、さすがに4合は1日では持て余すという人は、複数で飲んで飲み切る様になさるのがよいかと思います。
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