日本酒のお話 〜 ねこ正宗と菊正宗と沙沙貴神社
長いこと近畿圏にいても、知らないことというのはあるものです。
本記事は神社好きの人の方が興味深いかもしれません。
私、進雅は占い師です。したがって千里眼の様な透視術や、未来のことを断定的に予言するのは管轄外です。とはいえスピリチュアル的なことや、歴史的なことや日本神話などとの接点は何かと出てきやすいのも確かです。
そんな訳でちょっとしたキッカケがあって、滋賀県の沙沙貴神社に行ってまいりました。
佐々木源氏の発祥の地という話ですが、源氏にも何通りかありまして、近江源氏の系譜なのだそうです。
実際にお参りしてみると立派な拝殿、本殿や摂社が並び、キレイに管理が行き届いた神社です。
上の楼門をくぐるとそこからは動画撮影禁止の様で、静止画像のみですが、ヘッダーの画像がその中の1枚の拝殿です。
この拝殿に向かって左方向から裏手に回ると摂社やその他来歴があるものが並びますが、まあ、そのあたりは是非ご自身でお参りして頂けたらと思います。
何やら境内を散策しておりますと、沙沙貴神社は伊勢神宮の御神田(おみた)で取れたお米のイセヒカリの種籾が下賜されて、その種籾を沙沙貴神社の神饌田(しんせんでん)で継承しながらずっとイセヒカリを栽培しているとのことです。そのお米が毎年沙沙貴神社から滋賀県内の蔵元に渡り、そのお米で日本酒が作られるのだとか。その日本酒がコレの様です。
楼門を境内側から見ると、この菰樽が柱に置かれていますからすぐ分かります。
残念ながら神乃滴は神社で売られている様子は見当たらず、マニアが新酒が出来たと共に早いもの勝ちで入手しているのだろうと想像しながら、またいつの日かご縁があれば神様から買う機会を与えて頂けることでしょう。
という訳で沙沙貴神社を後にして、一路向かったのは近江酒造さんです。お目当てはコレ、ねこ正宗です。
社長が猫好きで、ねこのデザインの瓶に詰めたお酒を売り出したのがねこ正宗のラインナップだそうです。
もうね、噂や伝聞だけでねこ正宗を買いに行った訳ですよ。
さて、買ってから数日後に冷やして飲んだ訳ですが、その際にとある神社に甘酒を奉納した際に頂いた、菊正宗さんのロングセラー・キクマサピンが手付かずで置いてあったのを取り出しました。早い話が
「ねこ正宗と菊正宗を飲み比べよう。」
というただの語呂合わせの遊びです。
日本酒好きの人なら、
「そんなグレードが異なる酒を飲み比べたって、フェアじゃないだろ。」
と思われるかもしれません。ところがどっこい、菊正宗さんの実力を再認識する良いキッカケになりました。
まず選んだねこ正宗は純米酒の「春猫」
よく冷やしておいて最初のひと口目は甘口寄りの口当たり。酸味も辛味も苦味もそう突出したものは感じない、幅広くとっつき易い味なのですが、ゴクリと飲み込んでふた口目になると、なかなかどうして純米酒独特の腰のしっかりしたコクのあるお米の酒のボディの部分が追いかけてきます。
飲みやすく、かつ日本酒党もこれならばと思える範囲に上手くまとめた感がありました。可愛らしい瓶の猫のデザインとは裏腹に、ここ一番ではネズミをしっかり捕獲する猫の身体能力を連想する、甘めの口当たりの陰にどっしりとした部分が隠れているザ・純米酒の味わいです。ちびちび飲む方が飲み方としては向いていると感じました。燗酒にしたらまた違う風味を感じるのではないでしょうか。
さて、隣にグラスを並べて飲み比べたキクマサピンですが、醸造用アルコール添加で糖類などは無添加という日本酒です。
写真の1合入り紙パックで、市価が170円くらいの物です。菊正宗さんと言えば辛口のイメージがありますが、日本酒を日頃あまり飲まない人や、日本酒苦手という人でも違和感の無いひと口目ではないでしょうか?ガツンと辛口をイメージしていると違うと思いますが、なんせ雑味を感じない、飲み込んだ後もスッキリ感が持続します。むしろ味のボディの重さはねこ正宗の春猫の方が上だと感じました。
キクマサピンを飲んでみると、あぁ、日本酒だねぇという感想です。どっちが美味いと感じた?と聞かれたら、確かに春猫に軍配をあげますが、その差はアルコール感がねこ正宗の方が上手く全体のバランスの中に収まっている違いでしょうか。
若い頃日本酒で痛い目に遭ったという人の話をよく聞きますが、それは飲み過ぎただけで、自分の適量を飲んでりゃいいんです。その飲み過ぎた時の記憶が蘇るタイプの日本酒がこのグレードには並ぶのは否定しませんし、キクマサピンからも日本酒っぽいアルコール感は最初のひと口目から感じます。しかしこの喉の奥に流し込んだ後のスッキリ感と雑味の無さは特筆すべきでしょう。
この酒が日本全国春夏秋冬コンビニでも買えて、1合入りが170円くらいなのです。
あぁ、まあ、これなら…と思えるレベルにまとめている菊正宗さんの実力は素直に認めていいと私は思います。
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