「海」
たったひとりの仲間
なかまは
いま
身体の横にちゃんといる
私の冷えた手を取って
息を吸いながら
横で泳いでくれると
今の私だけではなく
昔の私、
私が生まれてくる前のことも
知ってくれて
涙を流してくれて
ずっと横にいてくれた
これからどうしようかと
一緒に
ことばを
つかわなくても
はなすことができる
丸くなった背中
ボサボサの髪
まばたき
ひと息
しわくちゃの目元
飛込
沈水
沈黙…
ひとりのひとなんだ
たったひとりの
私のなかま
一緒に泳ぐんだ
この海を
沈んでも
流れても
潮が変わっても
泳いでいくんだ
ふたりで