初めて救急車を呼んだ日
初めて救急車を呼んだあの日のことを、私は鮮明に覚えている。
救急車の中で私は自分の為に救急車を呼んでしまった申し訳なさで一杯になっていた。
「すいません、こんなことで呼んで本当にすいません。多分便秘なんですよお、、、」
と意識が朦朧としている中繰り返し謝った。
【おなかの調子】
「一週間くらい前からなんかおなかの調子悪いんですよね、便秘かなあ。」
私が救急車に運ばれる16時間前、そんな会話をしながら女子社員3人でランチをしていた。ランチで食べた有名なイタリアンレストランのウニのクリームパスタがすごーく美味しかった。
右下腹部に違和感を感じていたが、便秘だろうと考えた。
その日は、新しい取締役の方が親会社からいらっしゃる日で、自分たちの自己紹介や今後どんなキャリアを希望しているかなどを、緊張しながら発表した。
新しい役員の方は皆いい人だった。この人達が今後私の上司になるのかと思うと期待と不安とわくわくが入り混じった気持ちになっていた。
この時もなんとなくおなかの調子が悪く、何度もトイレにいったが、便秘気味なのと新しい人と会った緊張感で不調をきたしていると考えた。
その後の業務も難なく終えて、新しい役員陣の方とも沢山話をして帰った。
帰宅した後、トイレの回数が増えた。やはり、なんとなくおなかの調子が良くないのだ。「便秘って苦しいんだなあ」なんて思いながら何度も、何度もトイレにいった。
そんなこんなで、3時間後おなかが痛くなり、痛みがどんどん増していった。色んなところから冷や汗をかいていた。痛いから今日はこのまま寝てしまおう。そう思って布団の中に入った。
だが、寝ている間にも痛みの波が、徐々に徐々に大きくなり夜中に目を覚ましてしまった。時計を見たら、12時を回っていた。
「痛すぎて眠れない。。。鎮痛薬のんでもう一回寝なおそう」
そう思って、ロキソニンを服用した。
だが、それから1時間たっても、2時間たっても腹痛は収まらなかった。
鈍痛が激痛に代わり、痛みで声をあげて泣いてしまった。
同時に、38.5度の発熱を引き起こしていた。
それでも、なお私は便秘が原因だと思い込んでいた。
病院が開くまでにも、朝まであと5時間はある、、、
その瞬間「救急車」が頭に浮かんだ。ただ、便秘で救急車を呼ぶだなんて、、、
私の中の選択肢では、限りなくあり得なかった。
ということで、考えるに考え、夜間病院を調べ朦朧とした意識の中電話をした。
「あの、、、おなかが痛くてですね。熱が出てるんですよ。多分便秘だと思うんですけど、、、」
(※自分でこうして文章にしてみると、あまりに便秘だと思い込みすぎてやばい)
やっとの思いで、夜間病院の看護師さんへお伝えしたところ
「すいません、今対応できる医師がいないので、〇〇病院へご連絡して頂けますか?電話番号なのですが~、、、」
「あーそうですか、番号ありがとうございます。では(泣)」
まじかぁ、、、(´;ω;`)しんどいぞ、、、
そう思って電話を切ったのだが、また次の病院でも同じように、対応ができる医師がおらず、また別の病院の番号を伝えられるという苦しいループが3回も4回も続いた。こんな苦しいテレアポ業務は仕事をしていてもないんじゃないかと思った。
また、私の頭の中で「救急車」というワードが浮かんだ。
いやいや、救急車は私のような便秘の人の為にあるのではない!
私が使うべきものではない。
お腹の激痛と発熱のだるさと闘いながら「救急車」というその選択肢を選ぶかどうするのか、葛藤しながら検討に検討を重ねた。
しばらく考えこんで、ぼーっとした。
しかしながら、もうダメだ、、、
私の気力も、もうここまでだ。
私よりも救急車を必要としてる人がいるにも関わらず
本当にごめんなさい、、、
と思いながら、はじめて119へ電話をかけた。
【病院での診断】
便秘が悪化しちゃっただけなんだけど、、、恥ずかしいなあ。と思いつつ検査を終え診断の結果を医師から伝えられた。もうお気づきの方が大半かとは思うが、私は便秘ではなかった。
私は「憩室炎」という、盲腸近くの「憩室」という器官に炎症を起こしていたのだ。炎症を起こしていたため白血球の数値が異常に高く、熱が高く出てしまっていた。破裂していたら、手術が必要な場合もあるようだ。
「まだ、薬で散らせると思うので入院してください」
「え、、、何日で退院できますか?」
「わかりません、治るまで入院してください」
(まじかあ、、、5日で退院したい!!絶対に)
というのも、私は5日後にダンスのイベントを控えていたのだ。
絶対に絶対に、出ないわけにはいかない!!!だれが何と言おうと5日後に退院する!!!
ということで、初めての入院生活と投薬治療が始まった。
【救急車を呼ぶという選択】
そして、来たる5日後!!!
私は、無事ダンスイベントの舞台に立っていた。
リハーサルには出れなかったものの、本番までに無事に調整をして出演した。
早期の治療の甲斐があり、3日後には流動食から普通食を消化よく食べられるようになり、熱も下がり病院の中で仕事もしていた。あの時救急車を呼ばなかったら、もっと長引いていたかもしれない。
「救急車を呼ぶ」という行為は私にとってめちゃくちゃハードルの高いことだったし、勇気のいることだった。
だが、あの時「▶救急車を呼ぶ」を選択した自分、本当にナイス。何なら、もう少し早く呼ぶべきだった。多分、私のように自分の中の天秤にかけて、便秘だと勝手に思い込み「▶救急車を呼ばない」を選択する人も多いのではないだろうか。
皆さん、自分を過信してはいけません。また、我慢しすぎもいけません。それは、便秘ではないかもしれません。5日後、誰かに迷惑をかける可能性があるのであれば、大事な予定を控えているのであれば勇気ある選択をしてくださいね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?