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生物の本能論で安楽死に反対する矛盾を突く

反対派の定番論に「生物には生存本能があるのだから安楽死を望むのは歪みがある。それを治療すれば良い」がある。

しかしその論には大きな見落としがある。
まず現代の人間社会は本能に沿って生きることが許されていない。

例えば「生きるために他の生物から食料を奪う」という動物世界では当たり前にある本能的な行動をすれば逮捕だ。

また奪うのではなく「恵んでくれ」とお願いする行為すら犯罪である。

軽犯罪法1条第22号により、「こじきをし、又はこじきをさせた者」は拘留又は過料に処せられることになります。 この軽犯罪法上の「こじき」とは「不特定の他人の同情に訴えて、自分や扶養する家族の生活のため、無償またはほとんど無償に近い対価を提供して、必要な金銭や品物を求める行為で反復継続されるもの」をいいます。

https://www.nakagawa-lawoffice.jp/blog/other/1807

他にも好みの異性に子孫繁栄の本能のまま性行為をしようとする場合も同様である。
逮捕までいかずとも、本能的な行動をして批判されるケースは現代の人間社会では腐る程ある。
睡眠の本能に基づいた居眠りはもちろん、あくび一つ許されない社会。

安楽死を求める者達を見ると、中には若く健康で屈強そうなオス(あえてこう表現する)も決して少なくはない。
本能に沿って生きられる動物の世界なら寿命いっぱい生きられたであろう個体だ。

なのに現代人間的な安楽死を求めると、途端に本能論で反対するのは説得力がない。

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