多岐にわたる良書「一俗六仙」
あの日野原重明さんは、1970年3月3に起きた日航機「よど号」のハイジャック事件に巻き込まれたことをご存知でしょうか?
父は牧師であった、当時は還暦目前の日野原さん、その後のご活躍にこのあまりにレアなご経験が影響したことは想像に難くありません。
私がこの事実を知ったのは、今回ご紹介する著書、川村隆さんの「一俗六仙」で紹介されていたからであります。
日立製作所の驚異的なV字回復の立役者である川村さんも、1999年7月に起きた全日空61便のハイジャック事件に巻き込まれていたのです。
日野原さん同様、否応なく「死」と隣り合わせになった川村さんも、この体験が大きくその後の人生を動かしたのでしょう。
私がこの「一俗六仙」をオーディオブックで聴こうと思ったのは、失礼ながら、
「日立製作所は個人的に多かれ少なかれお世話になってるし、V字回復を成し遂げたということだから、何か良いこと言ってるのだろうな」
程度の軽い気持ちでした。
とんでもない!「嬉しすぎる誤算」でした。
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今の日本が何故他の先進諸国のような成長を遂げられないのか?を見事なまでに分析してくれています。
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国を挙げて産業・企業の「選択と集中」を進めよと進言。
「ゾンビ企業」なんて言葉も使いますが、それがむしろ清々しく爽快!
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既存の雇用形態はほぼ完全に否定。
「正社員とアルバイトだけにせよ」のような(極端な⁈)例えを使っているので、ともかくわかりやすい。
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元来が「無類の読書好き」。
様々な著書、その中からの引用が次々と出て来るが、その一つ一つがズシンと響き、それだけに読書の大切さに今さらながら思い知らされる。
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奥様との馴れ初め、これまでの経緯、果ては現住まいの場所や今後の生活ビジョンなど、包み隠さずオープンにしているので、読み手の参考になるし、あらゆる気づきにつながる。
などなど、挙げていったら枚挙にいとまがありません。
最後に僕自身が一番驚いたのが、
「日本を代表する大企業のトップを張った方が、何故我々凡人を凌駕する『フロンティア精神』を携えているのか?」ということ。
ただ、今となっては、
「だからこそあの巨艦・日立製作所を復活させたのだ」と確信出来ます。
この本は、置かれている環境がどうであろうと、どんな方にも響く内容であると確信します。
日本の過去と現在を認識し、そしてどんな未来が待ち構えているかを考える良き羅針盤となります。
私がこれまで出会った著書で間違いなく上位にランク出来る良書でした!
ちなみにタイトルの「一俗六仙」ですが、
「1週間のうち、俗世間的仕事は1日程度にとどめ、あとの6日間は俗世から離れて自分の本当にやりたいことだけをやる『晴耕雨読』的生活をする」
ということ。
川村さんは日立再建をを託されたためにその生活が10年以上遅れてしまったのであります。
が、この方レベルの人はまだ日本には少ないのではないでしょうか?
「一俗六仙」を邁進しつつもまだまだ「論客」「ナビゲーター」としては力を発揮してほしいと思います。
では
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