「天皇の国史」(竹田恒泰著)を読んで
竹田恒泰さんの著書「天皇の国史」は極めて長編。
オーディオブックで聴くのにも数日間要しました。
著者は皇室とゆかりの深い方だけに、私自身はおおむね彼の主張を理解はしつつも、各論部分では色々なご意見を持つ方が多いのではないでしょうか?
ただし、彼と主義主張が異なる方であっても、日本史を読み解く上では参考になることこの上ない良書であります。
前半部分は神話をベースとするストーリーが多く、面白かったものの私はここで語るだけの理解に至らず今後の宿題。
個人的にグッと惹きつけられたのは、やはり僕が最も関心がある「太平洋戦争における日本」の部分。
以前取り上げた著書「日本のいちばん長い日」(半藤一利)のおさらいとなり、更なる理解が得られました。
昭和天皇ご自身、何より対米戦争を「回避」する道筋を目指されていたにもかかわらず、国としての空気は天皇の名の下に開戦への気運に向かわざるを得なかった実情。
これは決して過去に葬り去られてはいけないことであり、現在の日本でも国民感情が良からぬ方向に向かってしまうことが全くないとは言い切れません。
マスコミ、メディアの役割、責任の重さを侮ってはいけないと同時に、そういった報道全般を的確に見通せるだけの眼力を我々も持たねばなりません。
多くの犠牲を無駄にしないよう、私は日本史からの学びを将来に活かしたいという思いをこの著書で深くした次第です。
あと関心を引いたのは何より「中国をめぐってのアレコレ」ですね。
これまで私は、なぜ中国は日本をも支配下におさめたいかの如き声が聞こえてくるのか?でしたが、「歴史上で(古代を含む)中国に朝貢した国」に対しては支配下におさめたいとか⁈
これはさすがに現在の僕の知識では眉唾物ですが、その仮定のもとに日中関係を考えてみるのは決して無駄ではありません。
この著書の前に聴いた「論語と算盤」(渋沢栄一)も秀逸でしたし、わたしは古代中国の古典が人生のバイブルです。
中国に対する感情が今後どうなろうと、学ぶべきものからは大いに学ぶ。
そしてそれを今後の中国との関係に活かすくらいの気概でいたいものです。
読書意欲が大いに掻き立てられ、かつその中でも「歴史」特に「日本史」への造詣はさらに深めたいと思わせてもらえた著書でした。
では。