おばけは脳みその中
ここ数年ずっと執着していたものから距離を置いた。はじめは執着ではなくきらきらしたささやかな光だった。求めれば求めるほど光は輝き、味わえば味わうほど、その輝きはだんだんと弱くなり、またたきに変わっていった。気づけばとっくに光は消え、残像の中に光を見出していた。しんどかった。離れては戻り、また傷つき、離れ、、の繰り返しだった。もうやめればいいのにやめられなかった。光が消え、焦りと不安の中、迷走する日々だった。音楽や、芸術作品、旅、人のあたたかさに触れ、励まされ、癒され、自問自答した。人生の先輩たちに答えを求め本を読み、酒を飲み、煙草を吸った。
結局、自分では離れられなかった。
あちらが離れていったのだ。
それでもだいぶ楽になった。
これでよかったと思うようにしている。
時折、薄暗い闇が静かに私をまとうとき、あの光がゆらゆらとあらわれる。脳の中の残像はおばけみたいに今でも私を惑わす。
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