更年期障害は、いろいろな状況下で、発熱、発汗とほてりを起こすありふれた症状です。女性の加齢現象の1つですね。順調な生理周期が終わりを告げることで、体内の女性ホルモンバランスが崩れていく過程です。女性ホルモンの消退症候群とでも言えるのかもしれません。
更年期とは、閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた10年間をいいます。月経が来ない月が12カ月間続いたときを閉経とします。日本人女性の平均閉経年齢は50歳ですが、閉経時期は幅が広く40歳代前半から50歳代後半までとなります。
更年期障害の症状としては次の3つに分けられます。
(1)血管拡張と放熱に関係するもの
(2)その他のさまざまな身体症状
(3)精神症状
しかし、この一般的な現象は、より重要な意味を持つのでしょうか?
女性の健康問題の研究を発表した論文で、心血管疾患のない35歳から58歳の女性492名の集団が追跡調査されました。
その研究で実施された検査の一つに、大動脈と冠動脈の石灰化を調べるための電子ビーム断層撮影検査があります。
更年期障害を報告した被験者は、それを認めなかった人に比べて、大動脈と冠動脈の両血管の石灰化が約50%高い確率でした。
更年期障害患者の4人に1人は、ちょうど17%を占める非更年期障害患者と比較して、冠動脈カルシウムスコア(CAC)が10以上でした。
閉経後の人では、更年期障害が2倍でしたが、両群の平均年齢(50歳)は事実上差異がなく同じでした。これは閉経の早期発症が、早いアテローム性動脈硬化症の発症リスクを上昇させることを意味するのでしょうか?
もしそうなら、エストラジオールの平均レベルが更年期障害のない人で著しく高いので、「エストロゲンは血管を保護するように作用する」という概念と合致します。
すなわち女性ホルモンは、血管の老化を防ぐ抗加齢作用があるということです。女性は女性ホルモンにより守られているのですね。