【特定企業の特許ポートフォリオ分析】フォルクスワーゲングループのEV化の流れを特許のマクロ分析から捉える
先日の日経XTechで「衝撃のVW戦略、EV化へ雪崩打つ エンジン消滅に現実味」という記事が掲載されました。
日本政府も昨年末に脱炭素社会を目指して「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を発表しましたが、ここ数年で自動車メーカーも電気自動車への流れを加速しています。
今回は上記の記事で取り上げられているフォルクスワーゲングループ(フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェ)のEV化の流れについて、特許のポートフォリオ分析を通じて明らかにしていきたいと思います。
また前回までシリーズでお届けしていた「特許分析を行う際の分析軸設定」の応用テクニックについても取り上げていきます。
1. ポートフォリオとは?
ポートフォリオというと、
・事業ポートフォリオ
・技術ポートフォリオ
・特許ポートフォリオ
・知財ポートフォリオ
など様々な場面で利用されていますが、もともとは金融・投資業界の用語で「金融商品の組み合わせ」や「資産構成」のことを言います。
それが転じて、事業の組み合わせ(複数事業を保有している企業の場合)や保有技術の組み合わせ、事業・技術に紐づいた特許群の組み合わせといった意味合いで利用されています。
今回はマクロ的な視点での特許ポートフォリオ分析について解説していきたいと思います。
2. 特許ポートフォリオ分析
特許ポートフォリオ分析については、主に
1)自社特許ポートフォリオ分析
2)他社特許ポートフォリオ分析
の2つに大別されます。今回はフォルクスワーゲンの特許出願に占める電気自動車(ハイブリッド車含む)について、その構成(=比率)を見ていこうと思います。
フォルクスワーゲン全体の特許ポートフォリオを分析するのではなく、EV・HEV関連出願がフォルクスワーゲン全体の出願ポートフォリオに占める比率を分析する際は、特許データベースからリストをダウンロードしなくても、データベース上で検索した結果から集計することができます。
3. データベースでフォルクスワーゲン全体およびEV・HEV関連出願を検索する
今回はパテントファミリー単位で収録されているグローバル特許データベースPatbaseを利用します。
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