知財情報を経営・事業へ根付かせるために(その1)
最近、セミナー・講演の依頼をいただくと「IPランドスケープ」というキーワードをタイトル・サブタイトルや概要に入れてほしいというリクエストをいただくことが多くなりました。
ただ、一方で「IPランドスケープ」、つまりは知財情報分析を経営戦略・事業戦略へ生かすという活動を、より真剣に検討しなければならないのだが、具体的に何をすればよいのか?という点は明確になっていないようです。キーワードだけが先に踊っていて、中身が伴っていないという状況だと理解しています。
2017年5月にイーパテントを設立する際に、会社のモットーを「知財情報を組織の力に」としました。
これは知財情報(特には特許情報ですが)が、企業や各種機関においてまだまだ十分に活用されていないという認識のもと、特許出願前や無効資料調査、侵害防止調査・FTOなどだけではなく、自社を取り巻く環境分析(技術動向分析や競合他社分析)、新規事業開発や新製品・新サービス創出、M&Aや提携先・投資先検討などにもより積極的に利用して、組織力の向上、ひいては競争優位性の確立につなげて欲しいという想いが背景にありました。
このブログで何回かに分けて(不定期にはなりますが)、「知財情報を経営・事業へ根付かせるためにはどうしたら良いのか」、今風の言葉でいえば「IPランドスケープを組織に定着させるためには何が必要なのか?」について私の考えをまとめていこうと思います。
やるべきこととしては、
個人レベル
組織レベル
の2つに大別させると思います。
1点目の個人レベルでやるべきことは、
知財情報分析に関するスキル
ネットワークづくり
の2点だと考えています
知財情報分析に関するスキルについては拙著「特許情報分析とパテントマップ作成入門 改訂版」でも基礎レベルは習得いただけます。しかし、知財情報分析について、各企業・各組織にプロフェッショナルなスタッフを配置できるか?というとなかなか難しいと思います。
なんでもかんでも内製しなければならない、というわけではないので、外部専門機関をうまく活用することは良いと思います。しかし、その際にも最低限の知財情報分析に関する知識というのは持っておくべきです。外部専門機関には外部専門機関の経験やスキル・テクニックがありますが、それが最大限に引き出されるのはクライアントからの(妥当な)リクエスト・要望があった場合に限ります。
そのため、知財情報分析で何が分かるのか、どこまで分かるのか、何は知財情報では分かりにくいのか・・・等々、最低限の知識を学んでおくことは重要です。その上で足りない面(知識・スキル面だけではなく、人や時間等のリソース面)を外部で補うというスタンスです。
ネットワークづくりというのは社内・社外の両方においてです。
知財部門内での人的ネットワークだけではなく、社内の他部門の方との人的ネットワーク、そして社外のネットワーク、この3つです。最後の社外ネットワークは、知財関連だけではなく、知財以外の分野の方々との交流も重要だと思います。知財の中だけで交流していてもタコつぼ化してしまいます。自分自身の視野を広く持つためにも、幅広い方々とのネットワークづくりがあると良いです。
2点目の組織レベルについては、また機会を改めてまとめたいと思います。
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