第2回 経営戦略への知財情報活用の歴史|IPランドスケープ、パテントマップ、知財情報分析・・・
本日のダイヤモンドオンラインに「正林国際特許商標事務所 未来を変えるイノベーションを発掘、“ランドスケープ”提案型業務に注力」
という広告記事が掲載されていました。
1か月弱前に日経新聞でIPランドスケープに関する記事が掲載されて
と題したブログを書きましたが、IPランドスケープ自体新しい考え方であるとは思っていません。取り組み自体は企業や特許調査・分析サービスを提供している調査機関・シンクタンクなどで従前よりやってきたものです。
IPランドスケープという英語キーワードがキャッチーで、注目を浴びているのかもしれませんが、IPランドスケープという確たる手法があるのではなく、
という考え方の枠組みだと理解しています。
もともとこの考え方は下記の 経営戦略の三位一体 でも提唱されている考え方です(=知財情報を事業戦略やR&D戦略の支援に用いる)。
知財情報調査・分析に従事してきた自分としては、知財情報をより積極的に活用していこう、知財情報は非常に有用な情報源である(経営情報としても技術情報としても)という認識が広まっていくことは喜ばしい状況ですが、いままでそのような取り組みがなされていないか(またはそのような取り組みが低調だったような)取り上げ方は少々いかがなものかと感じています。
と、現状の盛り上がっているムードに冷や水を浴びせるつもりはないのですが、IPランドスケープの前提となった知財人材スキル標準 Ver2.0 のベースとなった下記の報告書を見ると、
マップという単語を使う日本企業に対し、ランドスケープという単語を使う海外企業
の差が大きいような印象を持ちます。特許情報をベースとしたパテントマップに、ビジネス情報やマーケット情報を絡める取り組みは知財管理誌やその他文献を見ても昔からやられていることですので。
マーケットリサーチが魔法の杖ではないように、パテントマップやIPランドスケープも魔法の杖ではありません。上述の通り、知財情報への注目度が高まること自体は悪いことではありませんが、
IPランドスケープの可視化手法・表現方法ってどんなものなんですか?
IPランドスケープってどのツールを使えばできるんですか?
という変な質問を持つ方が出てこないことを祈っています(友人のツールベンダーの方に聞いたところ「おたくのツールはIPランドスケープですか?」という質問を既にいただいた、とのこと(苦笑))。