化け物製薬企業イーライリリー 銘柄分析
簡易版の𝕏のポストではなく、noteでわざわざ読んでくださってありがとうございます。コレを読めばイーライリリーがどれだけヤバいことしているのかちょっとわかると思います。
イーライリリーが開発したマンジャロは悪魔的な薬です。破壊的イノベーションと言っても良いでしょう。ウォール街はようやく、その革命的な薬の一部を理解し始めたに過ぎません。
結論を言うと、この破壊的イノベーションはフィットネスを破壊する可能性、食料品事業を破壊する可能性、医療を破壊する可能性を秘めています。
✅そのマンジャロってなんだ?
元MRのコネと、パーソナルトレーナーの資格を持っていた(過去形)私が口内炎ができるくらい調べましたよ❣️
難しい専門用語は私が噛み砕いてドロドロに消化してきました❣️
マンジャロはGLP1受容体作動薬および、GIP受容体作動薬です。いきなり意味不明ワードですみません🥺
これ以上消化できなかったんです🥺
通常、人間は食事をして血糖値が上昇すると小腸から膵臓に信号が送られて、そこでGLP1受容体と結合。インスリンを分泌させます。この薬はそれを強制的に行います。
最大の特徴は血糖値が高い時に限りインスリンを分泌させる効果があるため、理論上、「糖尿病患者以外が使用することが可能」です。はい、大事です。糖尿病患者以外にも投与可能なので幅広く減量薬として使用出来るのです。神薬ですね。
しかし、インスリンの分泌は肥満につながります。
え?
痩せるんじゃないの?
違います。インスリンが分泌されると肥満になります。
解説します。
✅そもそも「血糖値」とは
血糖値は名前の通り、血液内の糖の量のことです。血糖値が高いと身体の中の血液が砂糖水になってるんですね。
その糖をインスリンは下げてくれます。どうやって下げるのか?これがわかればインスリンが激太りホルモンだということがわかります。
インスリンは糖を体内の「各細胞に運び入れることで」血糖値を下げます。
例えるならば、ホームにごった返すサラリーマンが糖で、学生がタンパク質で、貨物が脂肪です。そこにインスリンという列車がやってきて目的地(=細胞)に発車していきます。サラリーマン(=糖)と学生(=タンパク質)と貨物(=脂肪)がいなくなったホームは血糖値が下がるという仕組みです。
そして、送り込まれた目的地(=細胞)で彼らは化学変化を起こして、糖はATPという身体を動かすエネルギー源に、タンパク質は身体を作る材料に、脂肪は蓄積されます。
だから、インスリンが分泌されるということは体内にエネルギーが満ち溢れ、筋肉や髪や皮膚などが合成され、脂肪が増える!ということになります。
ちなみに細胞で使われなかった糖はまたまた化学変化を起こして今度は脂肪に変わります🥺
食べて運動しないと太る理由がコレです。
✅じゃあなんでマンジャロは痩せるの〜?
という疑問が出てきますね。
結論から言います。「極端に食欲が落ちるから」です。
これがマンジャロ最大の特徴にして他のGLP-1受容体作動薬にはほとんど無い要素です。
マンジャロはGLP-1受容体作動薬と「GIP受容体作動薬」という2つの特性を併せ持ちます。
人間はホルモンにコントロールされています。眠くなるのも、気分が落ち込むのも良くなるのも、性欲が出るのも、お腹が空くのも、イライラしたり焦ったりするのも、血圧までホルモンがコントロールします。
食欲をコントロールするホルモンはグレリンとレプチンです。グレリンは食欲を増進させて、レプチンは食欲を減退させます。
このレプチンを分泌させるのが、GIP受容体作動薬の働き。
インスリンが分泌されて脂肪が合成されやすくなる代わりに、食欲そのものを減退させて総摂取カロリーを低くすることで減量を可能にしています。
また、最近の研究でGLP-1受容体作動薬とGIP受容体作動薬が協働して働いて、極めて大きな効果を示すことがわかりました。
✅では実際のデータはあるの?
①HbA1c(空腹時の血糖値)の変化の比較
右のデュラグルチドというのは現在のイーライリリーの主力製品であるトルリシティです。
マンジャロ5mg群で従来薬の約2倍の効果があります。マンジャロを3倍量に増やすと効果はさらに上がっていきます。容量依存性(=量が増えると効果も上がる)なんですね。
ちなみに、私調べですがノボノルディスクのウェゴビーの主成分セマグルチドはトルリシティの1.4倍の効果だそうです。最低容量のマンジャロ5mgの方が効果が高いです。
この点で、イーライリリー>ノボノルディスクという結論になりそうです。
②体重減少の比較
ここが大事ですね。
投与から52週間で従来薬は0.5kgの減量、マンジャロ最低容量5mgで5.8kgの減量。3倍マンジャロでなんと10.7kgの減量効果❣️
圧倒的な減量効果です。最低容量で従来薬の約12倍の効果。これが「ゲームチェンジャー」たる所以です。
これだけじゃありません。中性脂肪と悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす効果もあります(わかりやすく書いていますので本来の意味は多少異なります)
また、心臓や腎臓、肝臓にも良い影響を与えるという研究結果が続々と出てきています。
✅破壊的イノベーションたる所以
その影響で手術支援ロボットダヴィンチを製造・販売するインテュイティブサージカルの株価が下落、食欲減退効果からペプシコ、コカコーラ、モンデレーズ、ケロッグ、ハーシーといった大手食品メーカーの株価も下落。
ありとあらゆるジャンルを「破壊」しています。つい先日、減量薬としてFDAから承認が下りました。
もし日本に進出してきたらダイエットジムを展開するRIZAPなどの健康フィットネス事業も今後苦境に立たされるかもしれません。パーソナルジムなんて無くなるかも?
✅注射は週に1回だけ
週に1回注射するだけで食事制限もキツイ運動もせずに健康的に痩せられます。
実は、トルリシティやリキスミアやビクドーザなどの従来薬は1日に1回ないしは2回の注射が必要でした。(トルリシティは週1回の注射でした😭)
これは血中濃度の半減期が短かかったからです。薬の効果が無くなる前に次の注射をしないといけません。
でもマンジャロは週に1回で良いのです。この点も患者の身に寄り添った素晴らしい製品ですよね。
ちなみに、注射は全く痛くありません。31Gという最も細い針で注射するからです。
✅イーライリリーの株価はどうなる?
イーライリリーの前年EPSは5.48でした。今年の通期見通しEPSは6.6。およそ20%の成長見込み
現在のPERは112(超高っ❗️)なので、業界平均のPER24と比較して約4.6倍も高く取引されています。
今後マンジャロの売上アップが効いてくるので、下限を毎年20%のEPS成長だとして計算します。
仮に現在EPS5.48に業界平均PER24で考えると株価は131ドルに。現在のイーライリリーの株価は600ドル。随分と差がありますね。
そこに、20%成長見込みのEPSを計算します。
2023年EPS 6.6 株価158ドル
2024 年EPS 7.9 株価190ドル
2025 年EPS 9.5 株価227ドル
2026年EPS 11.4 株価273ドル
2027 年EPS 13.6 株価327ドル
2028 年EPS 16.4 株価393ドル
2029年EPS 19.7 株価471ドル
2030年EPP 23.6 株価566ドル
2031年EPS 28.3 株価679ドル
EPSが毎年20%ずつ成長したと仮定しても8年後の理論株価が現在の株価に織り込まれていることがわかります。それほど市場の期待が高いんですね。
でも、EPS成長が途中で加速するならばこの株価はさらに上がっていくはずです。
現在のイーライリリーの主力製品はトルリシティで年間74.4億ドルの売上。こちらはマンジャロの普及に伴って売上減少していく見込み。
その代わりマンジャロが市場の牽引役になっていきます。世界の肥満治療薬市場は2030年までに1000億ドルに達すると予想されているのでイーライリリーがどれだけこのシェアを獲得できるか注目されています。
先述の通りマンジャロがノボノルディスクのウェゴビーよりも性能が高いことを考えると、シェアはさらに拡大しそうです。
✅のあは投資してるの?
私は今年の5月に初めてイーライリリーに投資しました。その後7月に追加投資。最近も追加投資して、現在私の保有米国株の12%を占める1番大きなポジションになりました。
皆さんはPER 112、PBR 52.3という数値を見て投資しますか?
・・・不安です🥺