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俺は映画「ファーストマン」で美しい光景を見た

俺は美しい光景を見た。集中力を欠いて見ていたはずなのに、ある一点から目が離せなくなり、その世界に取り込まれていたのだ。なぜおれは取り込まれたのか。それについて話す。これは独り言のようなものだ。だがせっかくだから聞いていけ。「ファーストマン」について教えてやる。

ファーストマン」は月へ初めて降り立った宇宙船アポロ11号の乗組員ニール・アームストロングの話だ。たぶん教科書で一度は目にしたことがあるだろう「この一歩は……」と続くフレーズを。あの一歩を踏むまでに何があったのか。ニールが宇宙飛行士に志願する前から月からの帰還まで描く。そういう作品だ。

苦難の道

アポロ11号が飛び立つまでの道は苦難の連続だ。様々な実験機を飛ばしテストするがどれ一つ完璧な成功をおさめない。常に事故やトラブルが付き纏う。そして犠牲者も出してしまう。だが時は米ソ冷戦時代、ソ連に打ち勝つためけして止められない。主人公は目に見えて摩耗していき、その妻にも影を落とす。正直なことを言おう。俺はこの映画は自分向きではないなと後悔していた。だがアポロ11号が飛び立った瞬間俺の目は映画に釘付けとなったのだ。

何もかもが美しかった

アポロ11号が飛んだ。ただそれだけなのだが今まで困難の連続だっただけに、今までにないワクワクがあった。俺はそのまま物語の中へ吸い込まれ、目が離せなくなった。特に月へとたどり着き、そこに映った光景は美しかった。何もない真っ黒な世界に佇む月の大地。ただそれだけだが何より美しいかった。

そしてあの伝説の一歩が月に降り立つ。かつてあった事実というより神話の一部を見ているような感慨深いものだった。月の美しさがそう感じさせたのかもしれない。そして重要なことなのだがこの映画はアポロ11号の苦難の道をただ描く映画ではなく、ニールアームストロングが主役の映画だ。アポロ計画だけでなく個人への思いにも決着がつき、俺の頭の中にたまった感情が一気に爆発した。

俺は満たされた

映画の2/3ぐらいは退屈だと思ってみていたはずなのに、いざ終われば頭の中は完全に満たされて映画館を出た。ここまでの感動があったのは、ひとえに苦難の道をしっかりと描き続けていたからではないだろうか?ひたすら助走を続けていた。だからこそ飛んだ時何よりも高く飛べたのだ。それこそ月に辿り着けるほど。

この映画はいきなりマッチョマンが出てその後もバンバンアクションするようなアゲアゲな映画ではない。だが海の男が大絶賛されてる中、最初に月に辿り着いた男を忘れて見ないのはもったいない。これを聞いたおまえにも同じ美しい光景を見てほしい。

以上独り言は終わりだ。興味があるならまた話を聞きに来てくれ。

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