憧れの自治体複業にチャレンジ!専門的なスキルがなくても民間企業の”あたりまえ”が役に立つ?
自治体複業の記事を読んで興味を持ち、プロジェクトに参加した今井さん。20年以上民間企業で積んできた経験や身に付けてきたスキルを、どこかでアウトプットしたいと思っていたそうです。
今回は自分の力試しをしたい、世の中に恩返ししたいという思いを自治体複業に参画することで叶えた今井さんに、実際にプロジェクトに参加した感想ややりたいことを叶えるために大切なことについて伺いました。
自治体複業で自分のやりたいことを実現させる
三宅町の自治体複業についての記事を読んだことがきっかけです。複業という働き方に興味があり、情報を集めていたところその記事に出会いました。三宅町はAnother worksさんが初めて連携協定を結んだ自治体で、自治体複業の最初のプロジェクトが行われたところです。
その記事を見たとき、みんなの知恵を持ち寄り、行政が抱える課題を解決しようとしている人たちが、生き生きと楽しみながら取り組んでいる様子が伝わってきました。「面白そう!自分もそんな環境で働いてみたい」と思っていたところ、第二弾での公募が開始されたので思い切って応募してみました。
理由は2つあります。1つ目は、自分が培ってきたものをアウトプットしたかったからです。私は新卒で入った会社に20年以上勤め、様々な部署で経験を積み、異動するたびに新しい知識を身に付けてきました。
しかし色々なことを吸収してきても、自社でしか通用しない。当時の部長と「自分の市場価値」の話をして目が覚め、自分の力でどこまでやれるかを試すために、複業という新しいステージで挑戦したいと思ったことが理由の1つです。
2つ目は世の中のために何かしたいと思っていたからです。私には、2人の子供がいて、フルタイムで働きながら子育てをしてきました。それは決して簡単なことではなく、周りの人や社会の支えが欠かせないものでした。
子育てが落ち着き、今までの恩を何かしらの方法で返していきたいと考えたときに、自分の培ってきたものを世の中に活かすことはできないかと思いました。その手段として、自分の力を本業以外で発揮できる複業が有効的だったことがもう1つの理由です。
その通りです。自分が持っているスキルや経験をフルに活かして、世の中のための取り組みをする。私がやりたかったことを同時に叶えることができる自治体複業に出会うことができて本当に良かったと思います。
また、複業クラウドでの自治体複業の募集は、自分が20年ほど前から取り組んでいたデータ化や業務改革など専門的な技術がない私でも活躍できそうな案件が多かったことも良かったポイントです。
当時、同様のサービスを提供していた他社の募集はウェブマーケターやシステム開発など、特別なスキルを持った人が対象のものがほとんどでした。そんな中でも複業クラウドでの自治体複業の募集は民間企業で培ってきたものを活かせば、自分でも貢献できるかもしれないと思ったので応募しました。
民間の「あたりまえ」は行政の「あたりまえ」では無い
三宅町では業務効率化・改善アドバイザーとして採用されました。プロジェクトの内容は勤怠管理システムの導入のアドバイスであったため、システム選定や業務整理、ワークフローシステムの設計を想定していました。
しかし、プロジェクトが始まって、職員さんと話を進めていく中で、大きく軌道修正が必要になりました。まず職員が100名ほどの組織のためにシステム化が必要か、がスタートでした。
行政では行政向けの専用システムがあり、費用も高額です。カスタマイズも融通が利かない、アプリを紹介しようにも全職員さんはスマホを貸与されていない、自治体では情報漏洩対策のためWEBとは別回線になっている、など、システムの環境やデジタルへの考え方が民間とは違うとはじめて気づきました。
プロジェクト中はタイムカードから、ワークフローなど、自分が実際にやってきたことを紹介しました。ターゲットを給与計算担当の業務に絞り、手順を洗い出してもらって、見直せるところがないか確認しました。
同時期にアドバイザーに就任していた阿南市でも確認してもらったところ、三宅町と同じアナログな方式で勤怠を管理していたため、同じ悩みをもつ自治体をつなぎ、それぞれの実務担当職員と一緒にお互いを比較してより良い方法を模索することもしました。
3か月でデジタル化までは予算的にも難しかったですが、表計算のフォームの見直しや承認や手順の入れ替えなど改善の提案をして職員の方に何某か残せたのではと思います。
民間企業での経験や今まで培ってきたスキルの全てが役に立ったと思います。プロジェクトを通して感じたことは、民間の当たり前は行政の当たり前ではないということです。
私が何となく言った一言が職員さんの学びに繋がるということが、色々な場面でありました。たとえば、校正を手書きで郵送してチェックするのが手間ならPDFにコメント入れてメールで送る、会議の仕方や意味があまり無い会議ならいっそのこと廃止すればなど、私は何気なくいったつもりのことでも職員の方にとっては新鮮だったようです。
プロジェクトが始まる前は、民間ではあたりまえの「考え方」そのものが行政の職員の方の役に立つとは思いませんでした。
行動を起こしたから得ることのできたもの
想像していたよりも難しいなと思うことがたくさんありました。無償とはいえ沢山の応募者から選んでいただいたのだからそれなりの成果と職員さんの意識や行動に残るものをお渡ししたいと思っていました。
東大阪市は布施商店街のホテルに泊まり、喫茶店にいた高齢者の方にインタビューしたり、自分に不足している部分は友だちや知り合いに相談したり、大切な人たちにたくさん助けてもらいました。
PMやファシリテーションなど自分の当たり前を職員さんが理解できるように言語化をしたりすることは特に難しく大変でした。しかし、この経験のお陰で自分が持っている知識への理解が深まり、システム思考やデザイン思考などは改めて学び直す良い機会になったかなと思います。
たくさんの素晴らしい人たちにも出会え、大変さを上回るほど自分にとってプラスな経験を得られました。今は本当に挑戦して良かったなと思っています。
PJから2年経過していますが、阿南市の職員の方とは今でも連絡を取り合っています。徳島県の方で大雨が降ったときに影響は大丈夫か、と連絡をしました。また、今年の6月末に東京ビックサイトで開催された自治体DX展に行った際に貰った資料を共有しました。
プロジェクトに参加する前は縁もゆかりも無かった地域とこうした交流を持つことができたのは、自治体複業に参加したからだからこそだと思います。
まずは行動を起こすことが大切です。何か新しいことに取り組むとき、PDCAサイクルはDから回してみても良いと私は思っています。私の場合は、自分の力をどこかでアウトプットしたい、世の中のために何かしたいと思い、その両方を叶えることが出来る「自治体複業」に取り組みました。
何かしらの行動を起こせば変化が生まれ、きっと新しく得るものがあると思います。私と同じような気持ちを少しでも持っている人には第一歩目として、ぜひ複業クラウドに登録してエントリーをする、という行動を起こして欲しいです。
また、そういう思いはあっても特別なスキルは持っていないという人もいるでしょう。私も初めて自治体複業に挑戦するときは、選ばれて嬉しい反面、本当に行政の役に立つことができるのか不安でした。しかし、実際は自分があたりまえの様に思っていたことさえも、職員さんの学びに繋がることもありました。
今やっていることはすべてスキルとしてアウトプットできる。特別なスキルが無くてもチャレンジすることで新しいことを学び、それを活かして次に繋げる。そういう仲間が増えてくれれば嬉しいです。
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