三宅町DX推進に複業で貢献!約1.3トン、全体の3割の書類を削減した取り組みの内容に迫る!
奈良県三宅町では、2021年9月から12月末までの約4ヶ月、行政に複業人材を登用するプロジェクトを行いました。「外部CFO」「政務」「DX」「マーケティング」の4職種8名の複業人材の方々が活躍!
その中でも今回は、DXアドバイザーとして参画した長野さんに、応募したきっかけや書類削減の具体的な取り組みについてお聞きしました。
*プロフィール
行政と民間の経験を活かし、
自分だからこそできること
自治体職員としての経験や、民間のオフィスの環境改善を指導している経験を活かすことで、三宅町さんのお役に立てるのではないかと思い参画しました。
また、三宅町さんは車で15分の生活圏内で、親近感もありました!
そうですね。今も地域のため、人のために働くということを大切にしています。
市役所に勤めていたときは、住民と職員、お互い一生懸命やっているのに、どうしてうまく嚙み合わないんだろうと思っていました。
今回は、これまで多くの方に育ててもらったという感謝の気持ちから、恩返しができればと思い参加しました。
職場改善から業務改善へ
DXアドバイザーとして、1点目は職場環境から業務の改善へアプローチしました。書類の整理を行うことで、職員の皆様の働きやすさや業務効率をあげることが目的です。
2点目は、全書類のリスト化です。DXでは、見えない問題は解決できないといわれており、全書類をリスト化することで、まずは業務情報を可視化しました。この2つが大きく取り組んだことです。
訪問した当初は、書類が複数箇所に分散しており、職員さんが自分の担当書類だけを管理しているような状態でした。また棚の上にも段ボールなどあり、防災の面から見ても危険で改善しなければと思いました。
こちらがプロジェクト開始前と開始後を比較した写真です。いろいろな場所で管理されていた書類が、このスペースだけに収まりました。戻す場所ができて戻せるようになったので、散らからなくなった等のお声もいただいています。
そうなんです。弊社のアシスタントにも来てもらい、職員の皆様と一緒に穴をあけて管理する簿冊タイプのファイル用品から、書類を扱いやすい個別フォルダに移し替え、不要な書類は処分しました。
最終的な結果として、政策推進課様分だけで約1.3トン、全体の3割の削減になりました。
▲廃棄書類
個別フォルダに移し替えた後、そのデータをエクセルで一覧化しました。全部で約500行、25ページ分にもなりました。
こうすることで、どこにどんな書類が保管されているのか、何年保存して、いつ処分するのか新人職員でもわかるようになります。ファイリングシステムと呼ばれる仕組みで、この仕組みで運用をすれば来年以降、リバウンドもしません。
そして、自分の担当ではない書類も、短時間で取り出せるようになりました。初見で担当業務外の書類を検索する「他者検索」を行ったところ、早い方で約20秒、隣の部署の方でも約1分程度で取り出せるようになりました。
▲短時間で書類を取り出すことができた時の様子
はい。新しく異動してきた職員さんも、この表を見ればどんな業務をしているかがわかるので、引継ぎが不要。双方の時間短縮にもつながりますし、情報共有がなされ、作業の効率も格段に上がります。
しかも、行政の持つ書類情報は公文書であり、住民の資産です。住民の資産である以上、いつでも適切に取り出せるという状態を保たなければなりません。
環境改善の本来の効果を知っていただいたり、職場ですぐできる、ちょっとした机周りの片づけ方のコツをご紹介もしました。後は、今回の取り組みのためのスローガン案を作成していただきました。なぜ書類整理をしなければいけないのか?という必要性を、確認する時間を作るためです。
環境改善への取り組みは、どうしてこんなことをするのか、という声が内部から上がってくる企業様も多いんです。その時に、このスローガンに立ち返る。そういう役割を果たします。
三宅町さんの場合は、
「重み(書類)をなくし、想い(仕事・家庭への専念)を創ろう。 片付けは未来につながる活動の第一歩!!」
「片付けは自分だけじゃなく、組織をもハッピーにする」
「良い仕事は良い環境から」
「自分のためはみんなのため 働き易い職場のために 住民のために」
等、人を思う気持ちや未来に向けた案が多かったのが印象的でした。
職場環境の改善に対する職員さんの意識の変化やその内容に、私が共感し、やりがいにも繋がりましたね。
そうなんです。研修の後、学んだことを他部署に対して、力説してくださっていたんです。人から言われたのではなく、自分たちが必要だと思ったから動いてくれている、という変化をすごく感じました。
そして、他部署の方からも、書類整理の仕方変えてみたよ!と話しかけてくださるようになり、「うちの部署も見に来て」と言っていただいたり大きな変化を感じました。
弊社のアシスタントの1人が、「行政には冷たいイメージをもっていたが、自分の勝手な思い込みだった」と言ってくれて。そうすると別のスタッフも、同じことを思っていたと。この活動を通じて、いち住民として行政に期待していいんだと思ったと言ってくれたんです。
逆に言うと、行政に期待していない住民もいるということ。しかし、三宅町職員さんが一生懸命取り組む背中のおかげで、彼女たちの価値観が変わったんです!
三宅町をモデルに水平展開
上の写真は取り組み前の状況です。3番目の写真は庁舎を外側から見たときの様子で、モノが邪魔になりカーテンがきちんと開けにくい状況でした。
整理が進み、カーテンが開き、、課長さんが窓を開けて「わぁ~気持ちええわ」と言って外を見ていらっしゃったことが印象的でした。
窓からは外の様子が見え、子供たちの声も聞こえる。カーテンが開いたことで、明るくなり、環境がよくなったと感じました。
▲カーテンが開いた様子
全部良かったです。三宅町さんとのご縁に感謝しています。
三宅町さんは外部の私たちと一緒に作業しようという雰囲気があり、問題意識や自主性が素晴らしかったです。熱意に圧倒されました。
今回、私は第二期のアドバイザーとして参画しましたが、第二期に関しては職員さんから、こういう分野のアドバイザーを募集したい、と声が上がっての実施と聞いています。だからこそマッチングがうまくいき、取り組みの中でも良い効果として出たのかな、と感じました。
森田町長が「7秒で書類を取り出す」とおっしゃっていたので、その様子を他の自治体の方にもみていただきたいですね。町長と職員さんの距離が良い意味で近いことも、今回のプロジェクトがうまくいった理由の重要な要素の1つで、こうした雰囲気も含めてご覧いただきたいです。
また三宅町さんには、政策推進課で実施したことを、他部署に展開してくださいという話をしています。1部署をモデルケースとして全ノウハウをお渡ししできたと考えているので、後は同じことを他部署で実践するだけで、町役場全体が片付きますからと。
そして全国の自治体もよく似た環境で業務を実施しているので、三宅町さんにモデル自治体になってもらい、同じようにお悩みやお困りの他の自治体にも水平展開できたらいいなと思っています。
これが叶えば、全国の自治体が片付き、行政全体の業務効率アップが図れるんですよね。これを、楽しみながら職員の皆さんとともに挑戦してみたいです!
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