読書記録:生物に学ぶ ガラパゴス・イノベーション
著者・稲垣栄洋
発行・2021.05.31
ISBN978-4-487-81495-4
著者の研究分野は,農業生態学や雑草科学である。
そして本書は,生物とビジネスを掛け合わせた内容である(と私は思う)。
面白いと思った箇所に付箋を貼りながら読んでいるのだが,付箋の数が多くなった。ガラパゴスとあるように,本書は生物の進化を扱っている。生物の進化に面白さを見出していることを改めて実感する。
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さて,ガラパゴスとあるように,本書では進化の中でも,「島の進化」に着目している。
進化の話を人間世界に持ち込んだ悪しき歴史として,優生思想がある。違いについて,どちらかが優れているとか,劣っているとか,そう言う問題ではない。違いは,違いでしかない。それは大前提として,進化の話を読みながら,人間世界に思いを馳せた。
島では天敵が少なくなるため,種内間競争が激しくなるという。
(職場もそうかも。争わなくてよい争いなんかもある。)
島の進化の強みは,オリジナリティや環境を相手にした進化である。
島の進化の弱みは,限られた環境の中で小さなことで競争してしまうことである。
(まさに,職場である。良い方向に働けばいいけれど,小さなことに気を取られるあまり,しょうもないことで停滞したり,気を病んだり。)
かといって,ガラパゴスが悪いことはない,と筆者は繰り返す。
生物はオンリー1でナンバー1になれるニッチ(=隙間,生態学的地位)を獲得する必要がある。そのために,「ズラす」のだ。
草食の爬虫類であるイグアナ。
一方で,ウミイグアナは,草食は草食でも海藻を食べる。つまり,泳ぐ。
魚を捕食できるほど泳ぎが上手ではなくても,泳げる草食は他にない。とすれば,オンリー1でナンバー1なのだ。
意外性のあるズラしは,新たな価値を生む。
○○もできるホニャララ。
写真撮影もできる電話,音楽が聴ける電話,みたいな。
一方で,削ぎ落とすことでも,新たな価値を生む。
写真撮影しかできないカメラはその性能を一点特化で高めていくだろう。
音楽しか聞けない持ち運べるものは,私たちの生活を変えた。
(全部一台で済ませたいか,個々に分けたいかは,人それぞれかな。最近はスマホで片付けちゃうけど,音楽は頑なにWALKMANを使ってた。他にもSuicaをモバイルSuicaにするつもりはないし,クレジットカードとSuicaも別にしている。)
ズラしてニッチを獲得する手法を,自分に当てはめてみる。
同じ経験をしてきた人は,誰一人としてこの世にいない。だからこそ,その人にしか辿り着けない,その人がオンリー1でナンバー1になれるニッチがあるはずである。誰かと同じことをしていてもつまらない。
筆者はFMIC未来はじめ研究所の四つのSHINKAを,生物の進化に当てはめながら,イノベーションを語る。四つのSHINKAとは,「深化」「進化」「伸化」「新化」である。
また,アイデアを出すときのオズボーンのチェックリスト(転用,応用,変更,拡大,縮小,代用,置換,逆転,結合)をもとに,島の進化を考察している。
さて,ニッチを探そう。ブルー・オーシャンを創り出そう。
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ガラパゴスって,スペイン語でゾウガメのことらしい。
と言うことは,ガラパゴスゾウガメって,ゾウガメゾウガメってこと?
ドードーって,飛べないどころが,足も遅いらしい。
ポケモンのドードって,時速100kmで走るんだって。ポケモンのドードーは絶滅してしまったドードーの夢かもしれない。なんてね。ポケモンのデザインは,すごく好き。
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