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全国の自治体10%のシェア獲得までの道のり〜地方は、必ず輝く〜
株式会社Another worksの代表をしております、大林です。「複業クラウド」という複業(業務委託)案件を探す80,000人以上の即戦力タレントから、月額定額のプラットフォーム使用料のみで何人でも複業人材を仲間にすることができる日本初の複業マッチングプラットフォームを運営しております。
2019年5月7日(令和の最初の営業日)に令和以降の日本の働き方の常識を創る(=複業の社会実装を実現する)ためにAnother worksを創業しました。現在は50-60名の非常に優秀な仲間たちと楽しく成功するために、全員が社会の”当事者”として日々社会実装活動に勤しんでおります。
弊社サービス「複業クラウド」はリリース5年で民間企業累計2,000社に導入をいただいており多くの複業機会(=マッチング)を創出しております。民間企業以外にも実は自治体事業を創業2期目に新規事業として着手をしており、ついに全国の自治体の10%のシェア獲得(導入)を実現することができました。今回は、その軌跡(正直奇跡の連続ですが、、)を簡単に振り返りたいと思っています。
なぜ自治体事業を新規事業でやるのか〜問いの重要性〜
時を2020年8月に戻します。当時は最初の緊急事態宣言があり、ロックダウンなどで社会全体がカオスな状態でした。混沌を極める世の中では常々、新しい常識や価値観が生まれてきており、当時の私はいかに早くポジティブに自社ビジネスドメインと社会の方向性の相関を捉え、アフターコロナを想定した経営の舵取りに向けてリスクテイクできるかという勝負が始まっていると内心焦っていました。
当時を振り返ると、今後の価値観の変容を以下のように仮説立てしていました。
複業という働き方は「オンライン社会」と相性が良すぎる
少子高齢化という社会課題と相まって既存ビジネスは間違いなく追い風になる
企業以外でも自治体は非対面/オンライン対応(現在ではDXという言葉で浸透してますが当時はDXとは??という状態でした)が急務となる
高齢化も相まって地方になればなるほど窓口対応以外でのオンライン対応が必ず求められてくる
今思うと当たり前のことを言っているように自分でも思いますが、当時はコロナで大混乱の最中。冷静に未来を想像することさえ普通ではない感覚でした。
そして、この仮説を元に、
自治体が本当に困っている真の課題とは何か
複業人材がオンラインで地方創生に参画することでどのような差分を生み出すことができるのか
なぜAnother works社がやるのか
誰の何の課題を解決するのか
経済性をどのように生み出していくのか
代表が100%コミットすることができるケイパビリティはあるのか
自治体は本当に複業人材を求めているのか
他にやっている会社はいないのか
やっていればなぜ上手くいっていないのか
撤退ラインはどのように設計するか
ファウンダーとして本当に自治体事業を心からやりたいと思っているか
自治体事業と心中する覚悟はあるか
などの問いを立て、「Another worksがやる価値がある」「Another worksが本気で取り組めば自治体も複業人材も全員が幸せになる」と結論を立てました。
今振り返ると、この意思決定プロセスは本当に間違ってなかったと思います。経営はノリや勢いも重要だと言われますが、私はそうは思いません。(時に重要なこともありますが)
経営とは社会に「問い」を立てること。そして決断すること。そして死ぬ気で実行することだと思います。あくまで始まりは「問い」であるべきです。そして社会にとって本当に良いことをすべきです。ただ儲かるから、ではダメなのです。「社会性」と「経済性」の両軸を伴っていなければいけません。
二宮尊徳の「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」という言葉は私がビジネスをする上で最も大切にしている考え方です。自治体事業を覚悟を持ってやろうと思った理由もここにあります。
「社会性」は言わずもがな存分にあります。人材獲得も若手定着も難航している自治体において、複業という形でオンラインでも関わってくれる人材は是非受け入れたい非常に有り難い存在です。DXのロードマップの策定やふるさと納税の推進、人材採用支援やデザインのアップデートなど、時代の変革によって職員さんだけではすぐに解決が難しい分野が急増している中で、その地方に強い思いがある人材が複業で関わってくれることはまさに「渡りに船」であり、だからこそ複業人材は救世主になれるのです。
大事なポイントは「経済性」です。社会的にインパクトのあるいわゆる「ソーシャルベンチャー」が躓くポイントは「経済性」の証明と実績です。私もいかに「社会性」を生み出しながらマネタイズをするかを本気で考えました。
中には「社会にとって良いことならお金はもらわなくてもいいのでは?」という人もいます。しかし、絶対にそれは違います。良いことであればあるほど続けないといけないのです。拡大しないといけないのです。続けるために、拡大するためには運営する人材が必要です。人材確保にはお金が必要です。そのためには売上利益を生み出さないとサステナブルではないのです。当たり前のことを言っていますが、大人の綺麗事を鵜呑みにする起業家が多いのも事実です。マネタイズすることは悪ではありません。幸せの総数を増やすためには、運営者がしっかりマネタイズして、グロースさせる責任があります。だからこそ、社会的なインパクトを生み出すためには「経済性」と「社会性」の両軸がマストなのです。
奈良県三宅町との出会い〜なぜスタートアップが自治体に信頼されたのか〜
そもそも自治体に導入してもらうってスタートアップは無理ではないのか?
という周囲の意見はありました。ただ、「できる理由から探す」ことがベンチャーだと前職のビズリーチで叩き込まれてきたので、「どうすれば自治体が導入してくれるのか」という問いを立て、その問いの答えを納得いくまで知人の人脈も拝借しながら探し続けました。当時は、今のように行政も官民連携に向けて間口を大きくしておらず、自治体ビジネスに詳しい人も多くいなかったため非常に苦労したことを覚えています。
そんな中でも多くの関係者にヒアリングさせていただき、妄想ではなく実態に即したビジネスプランを固めていきました。このタイミングで既存事業は経営陣にほぼ任せて、私はこの自治体事業にフルベットしながら立ち上げていきました。何も言わずに挑戦させてくれた共同創業のCTOとCDOには心から感謝をしています。
行政という”前例主義”の中での戦いは、私が主戦場としてきた”常識を作り変える”戦いとは真逆の考えで、バイアスを取り払うことに苦労した記憶があります。しかし私は「事例がないならあれこれ考える前に創ればいい」とある意味大胆に開き直り、KPIを都道府県数の「47」に決めて、2年以内に47都道府県で1自治体以上の導入実績を創ることを決めました。
決めたはいいものの「言うは易く行なうは難し」とはこのことで事例が0の中で一緒に日本初の取り組みをご一緒してくれる自治体なんて滅多にいません。そんなときご縁で出会ったのが奈良県三宅町の森田町長です。ご紹介をいただき、森田町長と出会い、最初は真夏の猛暑日にオンラインでご挨拶をさせていただきました。私自身のことや会社の想い、実績がないけれども創りたい未来の話をしました。森田町長から「面白い」「自治体には絶対に必要」「一緒にやりたい」とお言葉をいただき、その夜は震えた記憶があります。すぐに奈良県に行く日程をその場で調整して、後日三宅町に行きました。役場の職員さんともMTGを重ね、2020年10月に奈良県三宅町と連携協定を締結し、我々の自治体ビジネスがスタートしました。
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森田町長は三宅町を実証実験の街にしていきたいと話しておられますが、もちろん、どの企業でもいいわけではありません。「一緒にやるからには、スタートアップにとっても大きなメリットがないと一緒にやらない」と官民連携の本質を教えてくれたのです。官民のどちらかが疲弊する形だと絶対にうまくいきません。継続性がないからです。本来住民の幸福度の最大化のために行う事業も結果として頓挫してしまっては意味を為しません。
常識を変えるために必要なこと
我々の自治体事業は奈良県三宅町から始まりました。2自治体目は埼玉県の横瀬町、3自治体目は山梨県の大月市。そこから地道に実績を作り続けていきましたが、行政に民間複業人材が入るという今までになかった価値観を受け入れてもらうことは決して楽な道のりではありませんでした。
昨日も今日も同じだった常識を変えにいくには相当の体力と気力が必要になります。生体恒常性は人体だけではなく、組織や社会にも適用されるものだと身を持って知りました。
しかし、誰かが変えてくれることを祈るのではなく、自分が社会の当事者になって変革する方がワクワクしませんか?私はそうでした。いや、むしろ誰かがその挑戦をしてヒーローとなる姿を想像して自分でも身の毛がよだつレベルで嫉妬する未来がビジュアライズされたので覚悟が決まった感覚がありました。社会変革だけではなく、自分自身の何かを変えたいときも同様で「内発的動機」で行動を起こすべきだと思っています。誰かが言うから、ではなく、自分が人生の当事者として、人生の主人公として立ち上がるべきなのです。そうしないと自分の魂は輝きません。そうするとより心臓は早く鼓動します。
自分が動かなければ何も変わりません。
ただ、動けば必ず何かが変わる。
高い志と並々ならぬ覚悟があれば少しずつ社会は変えれると信じてます。
現在は、私が自治体事業をスタートした4年前と比較し、それぞれが抱える課題をオープンにし、助けを求めている自治体が非常に増えています。東京都が運営する「NEXs Tokyo」、福岡県内の自治体が抱える地域課題解決を目指す「福岡オープンイノベーションプログラムFOIP」をはじめ、官民連携の共創プラットフォームや市町村が地域課題やニーズを企業等に向けて発信する「ガバメントピッチ」、アクセラレーションプログラムなど自治体課題に直に触れる機会は非常に多く溢れています。
誰しも1歩踏み出す「覚悟」と「強い想い」があれば、自治体課題解決の一助となる機会はすぐ目の前にあるのです。
「seize the fortune by the forelock. (幸運の女神には、前髪しかない)」
経営において「覚悟」は何より重要です。チャンスの神様は気付いた時には通り過ぎるので、常にアンテナを張り、覚悟を決め続けることが大切です。しかし、決めることは言ってしまえば誰にでもできること。決めた覚悟を磨き続けることは覚悟を決めることよりも圧倒的に難しいものです。もっと言うと覚悟は持ち合わせて当然で、大事なのは経営者自身が単純にそのドメインが「好き」でずっと「没頭」し「熱中」できるかにかかっています。
そして、アイデアがあっても実現しないと意味がありません。日本初の新事業だとしても成功しないとそれ自体に意味はありません。常に高い理想や夢を掲げ、現実との差分を理解し(今が何が自分に足りていないのかを知り)、その差分を埋めるために覚悟を決めて、努力し続けることです。最後は、経営の覚悟と信念が事業の行く末を決めるでしょう。
課題とは可能性である
「地方は課題で溢れている。しかし、課題は可能性である。」
これは連携協定先である大阪府東大阪市の野田市長から連携協定式でいただいた言葉です。地方には課題が山積しています。課題がない自治体なんて存在しません。DX、ふるさと納税、デザイン、採用、人材定着、環境問題、コミュニティデザイン、EBPM、SNS発信、インバウンド対策、福祉の充実、挙げるとキリがありません。
その課題解決の一助となるために、複業人材の経験や知見、ノウハウ、想いが必要なのです。累計で500名以上のマッチング実績とその何倍もの数の面談を4年間で弊社が実施する中で確信していることです。我々のプロジェクトを通じて、多くのアイデアが生まれ、関係人口が生まれ、多方面の幸福を生み出しています。結果的に我々は4年間で182/1788自治体の導入(10%のシェア)を達成することができました。「社会性」だけを追い求めていたら成し遂げることはできなかったでしょう。「経済性」だけを求めていても然りです。
そしてもう1つ。「志」を共にする同士がいなければ、なしえることはできませんでした。民間複業人材登用を通じた行政課題の解決という庁舎内で初めての取り組みにも関わらず我々と共に挑戦いただいた自治体職員の皆さん、地方の課題を心から解決したいとプロジェクトに手を挙げていただいた複業タレントの皆さん、本取り組みに期待し応援いただいたメディアの皆さん・関係者の皆さん、そして私を信じ、共に覚悟を決め、行動し続けてくれたAnother worksのメンバー。誰が欠けても4年間で10%のシェアの獲得は実現されませんでした。この場をお借りして感謝申し上げます。本当にありがとうございます。
現在、182/1788自治体の導入が実現しました。しかし、未だ1,610の自治体では複業人材の登用が実現していません。想いを持った複業人材の知見・経験を必要としている自治体はまだまだ本当に多いのです。これからも覚悟を磨き続け、複業が当たり前になる世を実現すべく我々は前に進み続けます。
この想いに強く共感してくださる方がいればぜひご連絡ください。(私のX上のDMからnoteを見たとご連絡ください)社会人・学生は問いません。どうすれば複業が当たり前になるのか、共に問いを立て、仮説を立て、覚悟を決め、磨き続けていきましょう。共に挑戦する革命仲間を求めています。
X(DMでのご連絡)はこちら
https://twitter.com/obayashi_aw
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