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コラボ企画展vol.3 『アナザー・福島浜通り』〜リスタートの活力!浜通りを食ってけろ!〜

11/12から24日までの2週間で、福島県・浜通りエリアを特集する、アナザー・福島浜通りを開催中です。
本日のnoteでは、この企画を担当するアナザー・ジャパン1期生の池田彩月が、実際に浜通りエリアを訪れて企画展のコンセプトを作り上げるまでに感じたことをお届けします!

アナザー・福島浜通りは、福島県消費生活課の事業「おいしい福島、食の縁結び~食でつながる福の輪~」とコラボレーションした企画展です。

アナザー・福島浜通り
開催期間 2024年11月12日(火)〜2024年11月24日(日)
場所:〒100-0004 東京都千代田区大手町2丁目6番3号 
TOKYO TORCH銭瓶町ビルディング1F
営業時間 10:00-19:00
定休日 月曜(祝日除く)
電話番号 03-6262-1375

コンセプトは、「リスタートの活力!浜通りを食ってけろ!」。

デザイナーの今井が描いてくれたキービジュアル
新たなスタートを切り、歩み出す人々を表現しています
視察で尋ねたhaccobaの 小高駅舎醸造所&PUBLIC MARKETにて試飲したときの写真を使用

今回このコラボレーション企画は、私と3期セトラーの志賀、2人で担当しているのですが、どちらも出身は福島県ではありません。私自身福島県には2回ほど行ったことがあったものの、震災があったエリアには近寄りにくいような、どこか触れてはいけないようなイメージを持っていました。

そんな中、企画を組み立てるために始まった夏の打ち合わせ。福島面白そうじゃん!と軽い気持ちで担当を引き受けた私ですが、一番最初の打ち合わせを経て、とんでもなく難しいエリアでの企画を受け入れてしまったと実感すると同時に、難しいからこそのワクワクを感じたことを覚えています。

福島県は、浜通り・中通り・会津といった3つの地域に分けることができます。
今回は福島県の消費生活課さんとのコラボレーション企画ということで、食をメインに、東日本大震災での放射線被害や風評被害が大きかった浜通りエリアをメインに特集を組むことにしました。

▶️8月の福島初出張

8月19〜20日の2日間で福島県へ出張に行ってきました。農園に行ったり、浜焼き体験をしたり、中間貯蔵施設を見学したりなど、様々な施設への訪問から過去の歴史の重さや13年の歩みを実感しました。今回のnoteではリスタートというコンセプトに至ったきっかけとなる4つの場所についてお話しします。

⭐️福島県農業総合センター

福島県農業総合センターでは、福島県の農林水産物が置かれている状況についてお話をいただき、放射性物質量についてモニタリング検査を行う分析室を見学しました。

中でも印象的だったのは、原発事故による風評被害についてのお話です。
福島の生産者さんは、震災により津波をはじめとする災害から土地を失っただけではなく、放射線によってダメになってしまった土壌を除去することも重ねて行う必要性があります。

県全体で、汚染された土壌の除去、さらには、放射能物質を測定する検査を行っているにも関わらず、福島県産というだけで危険なものと思い込まれてしまったり、他県に比べると価格が低く付けられてしまったりする現状があることを知り、胸を痛めました。農作物自体の単価が下がっているからこそ、第六次産業化に取り組み価値を高めたり、品種改良を重ねて、より美味しい農作物を生み出すことや、発育の段階で放射能を吸収しにくい食物を育てることをしています。

その後、放射性物質のモニタリング検査場を案内していただきました。
福島県では、農林水産物の出荷前に、県によるモニタリング検査が行われます。そこで基準値を下回っている地域の品目だけが出荷されています。
数年前までは、米類を中心に「全袋検査」を行っており、全ての出荷食品に対して検査をしていたこともあったそうです。
また、福島県消費生活センターなどでは、生産者さんや地域の方が自主的に放射能検査を行うことができる場所もありました。

震災から13年経った今でも、検査が行われている光景。
福島の方々の真面目さ・粘り強さを感じた瞬間でした。

そして、「福島のものだから」と一括りにし、一方的な不安を抱くのではなく、福島の農林水産物に関わる人々の、安全を守る活動を見聞きしていくことの重要性を感じました。

⭐️フルーツファームカトウ

フルーツファームカトウを運営されている加藤さんは、150年ほど続く農園の、由緒ある農家さんです。

そんな加藤さんは、震災と原発事故のあと、県の事業よりもいち早く、汚染された土壌の除染作業を行っていたと話してくださいました。
常にチャレンジをし続ける加藤さんの原動力は、「ただ、美味しい果物を作り続けること」。農業へのただならぬ愛情と情熱を感じます。

景気の変動があるにも関わらず、震災前から福島県産の桃は8キロで2500円程度と安価に販売されていることもあるそうです。桃の価値向上にも取り組んでいらっしゃいました。

企画として、福島県が取り組んでいる、食の安全をどう伝えようか...と頭を抱えていた私に、安全性を一番に謳うのではなく、美味しさを伝えようと大きな気づきをいただいた機会でした。

福島の代表的な桃は硬くてめちゃめちゃ甘いんです!
加藤さんが丹精込めて育てた桃は絶品でした!

⭐️松川浦いさみや・浜焼き体験

宿泊先として訪れた「遊学の宿:いさみや」さん。

ここでは松川浦の若旦那が集まり、ガイドも果たしながら、体験型の宿泊施設を行っています。

いさみやの若旦那、管野さんとお話しをすると、何度も立ち上がってきた人の強さを感じ、すごく勇気がもらえます。

漁師さんをお招きし、漁業の課題や面白さなどたくさんのお話しを伺いました!

実は被害は2011年の東日本大震災だけでなく、2020年からのコロナ流行、2022年の相馬市で震度6を観測した福島県沖地震と、災害から再出発を切ろうとした矢先にまた災害が引き起こっていることで拡大していました。
度重なる危機に何度も「もうだめかな」「廃業にするしかないかな」と思ったそうです。しかし「災害に負けた松川浦とは呼ばせない」と何度も立ち上がってきたからこそ、今の松川浦があります。

いさみやさんでは、地場産のひらめやいかなど、特性の醤油ベースのタレで味付けした海産物を、高温の炭火で焼き上げる「浜焼き」体験をさせていただきました。

震災前、松川浦の旅館や飲食店の前には、地元で取れた魚介類の浜焼きが売られており、香ばしい香りと、通りを歩きながら浜焼きを頬張る人々の姿が、松川浦の日常でした。

一度は途絶えてしまった浜焼き文化ですが、松川浦の海の楽しさを伝えることで、人をもういちど松川浦に呼び込むことができないかと「復活の浜焼きイベント」を始めたそうです。

また、「福島県産のお魚と聞いて、何を思い浮かべる?」という質問からのお話も印象に残っています。

福島近海の海産物は「常磐もの」と呼ばれ、親潮と黒潮がぶつかる潮目の海で、魚の餌となるプランクトンが多く発生するため、栄養をたっぷりと吸収して身が締まった、新鮮なお魚が取れます。
なんでも美味しいがゆえに福島県といえば〇〇という魚があまりおらず、さらには放射能の処理水の排出による風評被害などもあり、世に福島県産の魚としてのブランドを作ることが困難になっているそうです。

福島県ってカニ、イカ、タコ、ウニ、ヒラメなどなどたくさんの種類の魚が取れるんだけど、そんなにイメージないだろ?と聞かれ、たしかに、、と思ってしまった自分もいます、、。
こんなにも脂が乗っていて美味しい魚があるのに、まだまだ世の中に知られていないという寂しさと、有名になってしまう前に知り、味わうことができた特別感。本気で知られたくないけど本気で知って欲しいのが松川浦です!

また最近では天然のフグを、「福とら」としてブランド化する取り組みもあります。

何度も何度も立ち上がる粘り強さと、震災をきっかけに制度や取り組みを見直そうとする姿勢に心を打たれました。

⭐️中間貯蔵施設

福島第一原子力発電所の事故から13年。福島の地には新たな歩みを進める人がたくさんいますが、その一方で、放射性物質を含む除染土や廃棄物の処理は今なお大きな課題です。その処理の一環として設置されたのが、福島県双葉町・大熊町にまたがる「中間貯蔵施設」です。

中間貯蔵施設は、除染によって取り除かれた土や廃棄物を一時的に保管するための施設。
最終的には福島県外での処分が予定されていますが、その目標達成にはまだ多くの課題が残っています。

私自身、中間貯蔵施設の存在はニュースや資料等で知ってはいましたが、実際にどのような場所なのか、そして地元の人々がどのように向き合っているのか、肌で感じる機会はありませんでした。
施設の敷地は驚くほど広大で、推測できる範囲で東京ドーム11個分以上。除染土を保管するための黒いフレコンバッグが整然と並んでいました。これらは、防水加工され、耐久性も高く設計された上で土の中に埋められていきます。

敷地内では、津波によって倒壊した家屋の姿を目の当たりにし、先祖代々この地で暮らしていた人々がいたことを改めて実感しました。中間貯蔵施設として、除染土が埋められている土地もここに住んでいた住民の所有地です。2045年の3月までにはこの土地を返さなければいけないことが契約上で定められています。除染によって取り除かれた土や廃棄物は最終的にどこで処分をするのか、これから何十年もかけて私たちが向き合わなければならない問題なのだと実感しました。

時が止まったままの被災地

数キロ進んだ先では地元の方々が日常生活を営んでおり、田畑を耕している姿も見受けられました。震災がもたらした目に見える傷跡と、少し進めばごく普通の日常が広がるこの風景に、言葉にならない感情がこみ上げました。

▶︎出張を通じて

夏の出張を通して感じたのは、13年経った今でもまだ時が止まったままの地域やそこに残る課題。そして震災前を超えようと、様々な文脈で挑戦する開拓者たちの熱量。徹底した安全があるから感じることのできる安心。
何よりも美味しい福島の食!

これらを東京のお店でどう伝えるかを考え、決まったコンセプトが、
「リスタートの活力!浜通りを食ってけろ!」です。

過去をただの歴史として捉えるのではなく、過去を乗り越え、新たなスタートを切る人々の熱量を伝える2週間の企画展をお送りします。

また、「食ってけろ!」は「食べてください」の意味。浜通りの人々は食ってけろ〜って言うんだよと、海苔の佃煮をつくるお取り扱いメーカーさんの「おびすや」さんに教えていただきました。

海苔の佃煮をつくる「おびすや」の久田さん

▶︎お取り扱いメーカー

今回の企画展では17メーカー、約100種類の商品が店頭に並んでいます。
14年の歳月をかけて開発されたブランド米の「福、笑い」や動物や放射線の被害を受けにくいことから新たに小高の名産品となった「唐辛子」。米粉でつくったしっとりとした「バウムクーヘン」などなど、私たちが実際に食べて本気でおいしいと思った商品を仕入れました。

アナザー・福島浜通りは11月24日(日)までの開催です!
ぜひ皆様に商品を紹介させてください🐟🍑

アナザー・福島浜通り
開催期間 2024年11月12日(火)〜2024年11月24日(日)
場所:〒100-0004 東京都千代田区大手町2丁目6番3号 
TOKYO TORCH銭瓶町ビルディング1F
営業時間 10:00-19:00
定休日 月曜(祝日除く)
電話番号 03-6262-1375

▶︎アナザー・ジャパン初のツアー企画開催!

「いらっしゃい、おかえり、いってらっしゃい」がコンセプトであるアナザー・ジャパン。ついに「いってらっしゃい」を体現する福島浜通りツアーが決定しました👏
上記noteでお話ししてきたような私たちの福島出張が味わえるようなツアーになっております。

『福島のアツい作り手を巡る!浜通り開拓ツアー』

◼️出発日
2025年1月18日(土)(1泊2日)
◼️旅行代金
1名1室又は2名1室利用おひとり(大学生のみ):10,000円
※お部屋タイプによる旅行代金の変更はございません。
◼️参加条件
(1)大学生
(2)ツアー参加者の皆様には、ツアー終了後ツアーに関するアンケート(A4用紙3枚)及び意見聴取にご協力いただきます
(3)ツアー期間中1回以上滞在の様子をSNSに投稿できる方
(4)1名様よりお申込み可能です。(1組2名様を上限としております。)
◼️募集締切
2024年12月22日(日)
◼️お申し込み
ツアーの詳細は下記ページをご確認ください。

今回商品をお取り扱いしているメーカーさんの元を周り、実際にどんなこだわりや想いで商品をつくられているのかお話しをお伺いします!また夜は、私たちも出張で体験した「浜焼き」を楽しみながら、美味しいご飯とドリンクを持って松川浦の若旦那と熱く語り合いましょう。
かなり破格の料金設定ですので、今回のツアーは大学生限定となっております!!
アナザー・ジャパン初のツアー企画。すごくすごく楽しみです!ぜひお申し込みください👀


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