あなたらしい色をみつける
昔から景気が上がれば明るい色が、落ちこむと黒が流行るなんてことを言います。
そんなことで洋服を選ぶなんてと思うけど、人の心理のことだからこればかりは完全には否定しきれない。
そもそも今は景気が良いのか悪いのかすらわからない、気分だけでも明るくいきたいものだ。
そんな心理はさておき、色物(原色)を無償に着たくなることは時よりおとずれる。
我々の業界は生地を見る機会が多い訳ですが、ほとんどが白、黒、そしてベージュ、カーキ、オリーブ、ネイビー・・・とベーシック色ばかりだ。
もちろんそんなベーシック色があっての色物だし、ベーシック色を無くしてファッションは成り立たないことは承知している。
それでも正直楽しくない・・。
ファッションはそんな無難なものではなく、純粋にもっと楽しいもの。
青臭く聞こえるかもしれないが、今でもファッションは気分を上げてくれるものだと信じている。
昨年あたりから冬に「赤」が着たいとずっと思っていた。
それもウールもののアウター。
思い起こせばニットは特に赤が好きだし、レディースものも赤を良くセレクトしてきた。
意識にはないがやはり赤は特別好きな色なのだろう。
メンズの「赤」と言っても意外と身につけられるアイテムは限られる。
ウールメルトンものやニット以外だと、小物くらいかな・・。
赤に限らず色物は難しいイメージだけど、アイテムをきちんと整理すればとても使いやすい。
今回のウールショートジャケットの「赤」はそんな思いも詰まっている。
原型のBrightonからポケットをアレンジして大人しく仕上げた。
デニムにチノに、軍パンだって相性は良い。
色物は五十を過ぎると様になり、六十になれば粋になる。
黄色のゴム引きマッキン、青のガンジーセーター、緑のフレラコ・・、
この名品のこの色というものがわたしにはある。
あなたにもあなただけの色がきっとあるはず。