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1点物の刺繍

一点物というとオートクチュールやオーダーメイドなどを想像されるかもしれない。コレクションのドレスやテーラー仕立のスーツ、どちらにしてもわたしには無縁に等しい世界です。
古着も感覚的には1点物のようなものですが、そのほとんどが大量生産されたもの。

わたしが携わるカジュアルなモノにも一点物がもっとあっていい。
それも消費者側からのオーダー依頼に答えるのではなく、あくまでも発信する側から。採算というものがつきまとうけど、そこから考え過ぎるとやはり良いものはできない。

洋服を作る者にとってハードルは相当高いのも事実ですが、こんな時代だからこそ少しずつそれに近い試みをしていきたい。

その一つに刺繍というものがある。

周りを見渡しても、刺繍というものは身近に存在している。ただそれは、機械的に量産されたある意味で統一の象徴、これもまた真逆。
わたしが試みたいのは1点1点手による刺繍のこと。
どこか不恰好でありながら温もりのあるもの。
古着が身近な人はよく目にしたことのあるデニムやシャンブレーシャツのヒッピー的な刺繍、あれはまさに究極のそれ。
その空気感も含めてわたしの目指すものがanother 20th century。

今でも覚えています、20代半ばに仕事でアメリカに向かう飛行機のこと。
毎回長時間のフライトで眠れない中、真っ暗な中一人読書灯をつけてシャンブレーシャツによく刺繍をしていました。

今月の海の日3連休は久々にPaddlers coffeeさんにて販売イベントを開催予定です。只今そちらのイベントに向けてハンド刺繍物をメンズレディースそれぞれ1型ずつですがご用意しています。
一つのモチーフならミシン刺繍で1分かもしれません、それを手で一針一針すると30分以上かかることも・・。
一枚のシャツには5時間から6時間はかかることになります。

今回は裏テーマとして「手仕事」なるものを意識しています。
そのあたりも含め次回の投稿にてご紹介させていただきます。

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