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スーツが苦手なあなたに

「スーツ」と聞くと拒否反応のように苦手だと感じる。
わたしの人生の中でスーツは無縁であったと言っても過言ではありません。
いったい何がそうさせたのか?
30年以上アパレルに身を置く中、洋服全般は大体取り扱ってきました。
ただ、スーツというものには全く触れてきませんでした。
洋服の中でもカジュアルという分野に携わるということは、オンもオフも基本カジュアルが当たり前。それどころか仕事を離れても古着に目がいくぐらいで、ドレスどころかカジュアルを極めたくなるのです。

それに、「スーツ=きっちり着る」というイメージが、なぜか「格好をつける」に変換されてしまうのです。私たちの時代は崩してなんぼみたいなところがありましたから、余計に嫌悪感が強かったのかもしれません。
昔は「男性のスーツ姿が良い」という女性の声も正直腑に落ちず、スーツが良くても普段着がひどかったら落胆も大きくないか・・なんて斜に構えていたものです。
こんなことが積もり積もって「苦手」となってしまったに違いない。

スーツもきっと奥が深く、同じように見えてもこだわり部分が多いに違いない。私自身、昔からドレスシューズは好きなんですが、邪道?なことにあくまでもカジュアルに履くためのもの。だから、興味があるドレスシューズと、興味のないドレスシューズのラインがはっきりしている。
そんなこんなで、スーツに対しての色々な思いがあって今に至っている。
 
しかし、40半ばを過ぎた頃からでしょうか、「スーツではない、スーツのようなモノを作りたい」という漠然としたものが頭の隅にずっとありました。
実際、カジュアルなスーツっぽいモノは市場にもいくつもある。ただ、私の中で着たい作りたいモノとはジャンルから全く違うのです。

それが半年前くらいにこれだというイメージが頭に浮かびました。
それは、一着のパジャマがきっかけとなりました。
よくある軍物のスリーピングシャツとパンツでしたが、ボトムのディテールを見ていてイメージがパッと出てきました。
こんなラフさは残しつつ、縫製をしっかりさせて作ったらどんな感じになるのだろう。
出来上がったモノがどうとらえられるかはこの際問題ではありません。あくまでもその過程がとても重要であり、それがすごくしっくりときたのです。

肝は、スーツではなく、パジャマ由来であること。
そして、スーツのようだけど製品染めで仕上げるということ。
上下共通のポケットデザインもまとまり、製品染め用にあえて選んだら白いボタンの染まり具合もイメージ通りにだった。

わたしが今まで苦手としてきたことが全て払拭されていました。

現状、サンプルは完成しており、あとは内側の縫製をつめるだけのところまできた。まもなくお取扱店さんにもご案内できそうで、5月頃には商品としてお納めできそうだ。

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