SanFranciscoからのお届け物
「SanFrancisco」というモデルが生まれたのは2020年春頃(発売2020年9月)でした。そのきっかけになったのが一枚のぼろぼろになったミリタリー のつなぎです。
とても着られるような状態ではなかったのですが、とりあえず解体してコートへリメイクしてみようと思いました。
それが、思いのほかイメージ通りに進み、商品化することになったのです。もちろん、同じ古着をかき集めることは不可能なので、そのパターンを生かして再現することにしました。
「つなぎ」にしかないディテールが所々にあり、コートになったときにその雰囲気を消さないことを一番に考えました。
このコートに限っては、格好良いシルエットを出そうとするのではなく、リメイクしていった自然な形が結果的に格好良くならなくてはいけない。
つなぎ服はメカニックなイメージが強いので、ミリタリー と合わせてこんな背景が見えてきました。
Hi STORY
“60年代半ば、マサチューセッツ州スプリングフィールドの片田舎で廃墟と化した工場跡地から大量の作業着が見つかります。そこは40年代に軍用車の整備工場として使用されていた場所で、当時ユニフォームとして軍から支給されたメカニック用のつなぎ服でした。
そのことを耳にしたヘイトアシュベリーの学生らが、サンフランシスコにその作業着を持ち帰ります。
大量の作業着は、共同生活をしていた仲間たちによって一つ一つ解体され、ジャケットやコートにリメイクが施されました。
背中には大きく「San Francisco」の刺繍、そして「反戦、自由、平和」のスローガンがペイントされました。
そんな意志をまとうファッションが新たな概念として定着していくきっかけともなりました。
ビートニクスを支持してきた彼らが、まさにヒッピームーブメントへと向かう時でもありました。”
*Hi STORYに登場する人物や団体名等はすべて架空のものです。
メンズカジュアルの分野において、ミリタリー というジャンルは外せないものですが、反対に「平和、反戦」というメッセージ性も必要不可欠なのかもしれません。
ミリタリー はいわゆる軍隊や戦争を意味しますが、歴史的にみても、それ自体は悲しい出来事でしかありません。そのミリタリー ウェアをファッションに取り入れることに違和感を感じる人もいるかもしれませんが、考え方によってはとても良いことに思います。
使用された古着であれ、デッドストックであっても、本来の目的とは違うことに利用していきながら戦争というものへのメッセージを込める。
洋服を着るということは、飾ることだけではありません。
何かをアピールする手段でもあるのです。
綺麗なものだけが美しいのではなく、その考えや行動こそが全体を美しく見せるのです。
言葉や文字に表さなくとも、自分の中だけで何かを訴えることもできます。そして、それを着るのも着ないのも一つの主張です。
それが洋服の力でもあるのです。
そして昨日、SanFranciscoショートタイプがリリースされました。
つなぎ、コートからショート丈にリメイクされた経緯を加味し、少しゆとりのあるシルエットに仕上げました。
8月15日という日を前にお取扱店にもデリバリーされております。