一度ブランド嗜好を捨ててみる
40歳半ば以上の方に、
「洋服に興味はありますか?」
と尋ねるとどんな答えが返ってくるのでしょうか。
「それなりに…」とか「昔は好きでした」
という人が意外と多いのかもしれない。
40を過ぎた頃から意識が遠のき始め、半ばを過ぎると楽なモノを求める傾向にある気もします。年齢的には仕事や家事、子育てと追われる生活になってしまいがちで、ついつい・・といったことでしょうか。
先程、40歳半ば以上と前置きしたのには理由があります。それは、その世代からある程度上の方たちまでが、一番ファッションというものに熱く、深く触れた世代だからです。
もちろん今の若い人たちも洋服に興味がある方も多いのは多いのですが、良い意味でファッションに対するスタンスがラフ。それに対して、40歳半ば以上の人は、凝り固まっていたり、外した着こなし一つにも定義があったりもします。
若い頃からいろんなトレンドやブランドを渡り歩いた人が多く、そんな時代を経て今があるので知識みたいなものは大変豊富です。だから、自然と良いモノにもたくさん袖を通してきた人たちなのです。
そんな世代の方々が、仕事や子育てもひと段落して、また少しずつ気張らない程度に洋服に戻りつつあるのも感じます。
ある40代後半のお客様がこうおっしゃいました。
「今からまた何を、どんな系統の洋服を着れば良いのかわからない」と。
この方に「昔はどんな系でしたか?」なんて質問は愚問であり、何の意味もありません。
そもそも、洋服に何系なんてものはありません。
もともと何系とくくっているのはあなたではなく、世の中にくくられていたのです。仲間内から、ショップ店員から、雑誌から…。
わたしも勿論何かにくくられていたと思います。
何十年と時が経ち、この今、何が着たいのか?
正にこの歳だからこそ、自分らしいスタイルを確立するタイミングなのだと感じます。
どこまで世間と距離を置いて洋服を見られるか、そして洋服との良い距離感を保てるか。世間に流されず、執着しすぎず、それでいて自分らしいスタイル。
だれかお手本にしたい人がいてもいいですが、あんなファッションがしたいと思うのではなく、あんな感じでシャツが着たい、ニットが着たいと感じてほしいです。
このシャツ、このニットにどんなパンツを合わせるのかなんて、考えすぎないことです。これを繰り返していけば、自然と自分らしいスタイルへ近づいていくような気がします。
昔のような、あの人の着ている洋服はどこのブランドかな?なんて、また同じことを繰り返すのがとどのつまりです。
ここらで一度、ブランドという概念を捨ててみてはどうでしょうか?
この縛りから開放することが、世間との距離をとることにも繋がり、周りの目など気にしなくて済むようになる第一歩になると思います。
あとは昔培った目があれば、必然と良いモノに出会えるはずです。