僕の人生には事件が起きない

岩井勇気

芸人さんが生活の中で何を考えてどう生きているのかを読めるのは面白い。
おもしろいことや違和感に対するアンテナが鋭いんだなと感心させられる。
エッセイは文章との相性が難しいが, 自分にとってこのエッセイは読みやすい文体だった。

p95 「ルイヴィトンの7階にいる白いペンギンを見張る人」
現代アートを見てどう解釈したかが書いてある。作品だけを観て自分で結論まで出してからHPで答え合わせしているのが凄いと感じた。そしてその結論自体が面白い。
自分は絵画への造詣がないが年に1度程美術館に足を運んでは, 芸術が理解できるようになったかを確認しているが, その度にまだわかる年齢では無かったと悔しい思いをしている。次回は現代アートを観て意味を自分で解釈してみるという楽しみ方をしてみようと思った。

p153 「空虚な誕生日パーティ会場に”魚雷”を落とす」
何年も連絡をとっていない女性の知人から自分の誕生日会に参加しないかという招待が来る話。自分で描いた油絵をプレゼントに用意し渡す。プロの絵描きでもない岩井が描いた油絵が開封された瞬間に生じる沈黙。空白のプレゼント, 無音の爆発音などという表現で淡々と描いてあり狂気的なおもしろさを感じました。

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