「ふきのとうゆるく握る夕べ」
拝啓 すずめ園さま
すずめちゃんこんにちわ!
昨日まで晴れていたのにしとしと雨です。明日も雨みたいです‥この前置きが天気予報みたいになってきているの、おもしろ可愛いですね🌧
さいきん暖かくなってきたので、夜中にコンビニに行けるようになりました。アイスとかパンとか、くだらないものを買うし、いつもの道だけど夜は静かで救いみたいです。木に白い花が咲いていました。この後、白い猫ともすれ違いました。睨めっこしたら猫は全く動かず、負けて帰宅しました🐈
🌧
前回のすずめちゃんの自由律俳句、忘れていたなにかを想い出せるような、ノスタルジーを感じる瞬間が多かったです。
・犬眠る呼吸する丘
文体と光景がとても綺麗な一句ですね。眠っている犬の背中って丘みたいだなとも思うし、呼吸しているような静けさの丘に犬が眠っているのかな、とも思うし、様々な捉え方の出来る句ですが、どんな捉え方でも藍色の夜空みたいな明度がある名句です 🐕
・ふくらはぎのつめたさパイプ椅子
冷たいパイプ椅子にぴっしり座らなきゃいけない体育館を思い出しました。入学式とか、生徒会とか、あんなにパイプ椅子に座ってたのにそういえば大人になってからめっきり座らなくなった‥あの冷たい椅子に座れば思い出の箱全部開いちゃいそうです
話は違うのですが、公民館の○○会みたいなのに最近参加したい気分です お茶会とか🍵
・平日の海へ行く約束
前回の中でいちばんお気に入りだった句です。日常で普通に使いそうな言葉の並び方なのに、言葉の裏側にはドキッとするような煌めきが隠れています。「平日の海へ行く約束」と口に出して読んでみたのですが、なんかこう‥平熱のランデブーがするする身体に染み渡る感じがしました。言葉だけで自分すら誰かと平日の海へ行く約束をしたような感覚を覚えてしまう、自由律俳句の力を感じた句です。
それではわたしも自由律俳句行きます💐
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・ふきのとうゆるく握る夕べ
・おぢさん透ける苺大福
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街に擬態したきもちで人を観察するのが好きだ。透明人間になれる薬があったら、わたしはいつも通り街へ出てしまうと思う。お日様が自分のことを照らさないで、隣すれ違う人の肩だけを光らせていたら、くすぐったい気持ちになると思う。そんな事ばかり、空想しながら歩く。
この前、すれ違ったおじさんがビニール袋を手下げていた。中身が気になって覗こうとしたがよく見えない、気にも止めず、おじさんは真っ直ぐ隣を通り過ぎて行く。春先の爽やかな風がわたしとおじさんの間をすり抜けて、おじさんはもしかしたら苺大福を買ったのかもしれない、そんな気持ちになった。そうだったら良いなと、さっき透けていたビニール袋のピンク色に思いを馳せた。でもあれはたぶんビーフジャーキー‥
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・薄く拍手の音が
・花束抱えるエンドロール
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・ぼーるぱちこん夕方の鳴き声
・あの娘の裸足を見た夢
・忘れたく無い夢をアロンアルファ
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・迷って一人ラーメンですか
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・水墨画の如しマスク焼け
・終電ミスド抱くサンタ
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終電間際の電車でミスド二箱抱き眠るおばあちゃんがいて、きっと家族に買ったのかなとか、5人家族かなとか、ポンデリングが5個入ってそうだなとか、考えました。可愛いおばあちゃんサンタさん、わたしもドーナツパーティーに混ぜて〜!🍩
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・気にしないふり靴擦れとかとか
・着られてる制服春越しの風
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春の空気感ってなんでこんなに情緒的なんでしょう、食パンくわえて飛び出しても許されるような高揚感、わたしは春に、けだるげ、よりもまっさらな感覚を覚えます。すべての音が始まる春、澄んだ気流はところてんみたいだから、ところてんはきっと春の季語。スーパーには春野菜とイチゴの匂い、昨日無かったつくしんぼ、今日はちいさく芽をだしている。
制服に着られていた春がわたしにもあって、シャツの留め方が合っているかずっと不安だったし、のりで未だ固い制服が背中に張り付いてきもちわるかった。そんな不安感も、高い高い空には負けて、ピカピカの鞄や靴や靴下が世界の方向に前進させようとしてくる。春を乗り越えてくる風はとてつもなく強い。押し負けて、これまた見慣れない晴れ着を着た母親と入学式へ向かう。
制服に着られた君は不安そうな顔だ、わたしだって何度も乗り越えたはずの春が未だに怖いの。
でも、まだまっさらな春だから、あなたなりの色に染められますように、大変なことがあっても、何とかあなたの足で立てますように、葉が枯れてまた春、飽きず桜が咲くように、君の人生も流れ幾つか留まり傷ついて、またところてんみたいな春風が吹く日がくるから。
春越しの風に包まれたまだ背中ぴっしりの少年へ贈る句です。
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暖かくなってわかりやすく外出の記憶が鮮明になりました。仕事に行ったり、散歩したり、あまり変わらない日々だけど、忘れたくないセンサーが働くことが多くなって、その度にスマホのメモを開きます。
最近好きな喫茶店ができて、ひとりちみちみコーヒーを飲みながら本を読んだりしてるのですが、いつもお客さんが面白いんです。古い映画の話をする女子大生がロミオとジュリエットを恋人にあげようと企んでいたり(ロミジュリ、ロミジュリ、と略していて可愛かった) 、田舎の悪口を言う派手な格好のお姉さんが居たり、「水墨画の如しマスク焼け」という句は、窓際の席でご飯食べていたおじさんのことを詠みました。昼間は若者が多く、夜はおじさんたちが一人でご飯をたべる喫茶店です。ここで過ごした時間を一冊に纏められたら良いな、なんて思いつつ、店員さんに顔を覚えられない程度に通おうと思います。とってもどうでもいいことが、わたしにとっての原動力なのかもしれません。
すへてのじかんたいせつにしたいな!
それではまたね〜すずめちゃん𓅮
にっきより
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📻ラジオ出演のおしらせ📻
4月17日(日)14時〜16時放送
文化放送「鷲崎健のヒマからぼたもち」に次回ゲストとしてひだりききクラブが出演します🌷🌟❕自由律俳句の楽しさをお伝えできるよう頑張ります radiko等でも聴けますので、自由律俳句好きな方もラジオ好きの方も是非是非お聞きください📻
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次の更新は4月20日 すずめ園ちゃんの番です💡
『ひだりききクラブ』プロフィール
出雲にっき、すずめ園による自由律俳句ユニット。毎週水曜日にnoteにて自由律俳句の交換日記、「 #ひだりききクラブの自由律俳句交換日記 」を更新している
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