ちくしょう時計屋ばかりではないか
しばらく来る機会のなかった中野ブロードウェイを訪ねてみる。
2階、3階あたりを一渡りうろついてみたが、この数年の間に相当数の店舗の入れ替えがあったらしく、大小の高級時計店がやたらに増えていて驚いた。
まんだらけ、タコシェ、ショップメカノなど、健在の店舗もあるものの、全体的な雰囲気がすっかり変わってしまっているのだ。「サブカルの聖地」の面影は、なくなったとまでは言わないが、喪われつつあると感じた。
元々中野ブロードウェイには高級時計店が複数店舗あり、客層がオタク系とセレブ系に二分されていたのだが、なぜここに時計屋が蝟集するのか。大地震が発生したら確実に倒壊しそうな古ビルのフロアに、そこだけ高級感のある内装を施した時計店が居並んでいるのが何か場違いな感じもする。
新潟県出身者が上京して神田神保町で古本屋を始めたところ成功した。それを聞いた同郷人の何人かがその人を頼って上京し、同じように神保町で古本屋を開店した。こうして神保町に古書店街が形成された。だから神保町の古手の古書店主の先祖をたどると越後の人が多い。という話を学生時代に図書館学の教授から聞いたことがあるが、中野ブロードウェイの時計店群にそんな謂れがあるとも思えず、単に集客のしやすさが理由なのだろうと思う。
私は中野ブロードウェイを訪れることはもうないような気がする。