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山でサルと出会って、自然とのボーダーラインについて考えた
山の駐車場で食餌中の野生のサルたちとばったり遭遇しました。
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昔は、こんなところで野生のサルを見ることはありませんでしたが、最近では全く珍しいことではなくなりました。それこそ山里に住んでいたら、毎日のようにサルが自宅の屋根の上を走り回り、畑を荒らしていますから、もはや完全に日常の風景。サルがいても誰も見向きもしません。
じゃあ、私のように平野部に住むものは野生動物に脅かされないのかというと、そうではありません。様々な場面で彼らとの接触は確実に増えているのです。
例えばキツネやタヌキ、イタチなどは村の中でしょっちゅう見かけます。彼らはもともと人里周辺に住む動物ですけど、クルマで堤防を走っていると歩いている人より頻繁に出会うほどです。そこへ来て、ここ近年はハクビシンとアライグマが仲間入りして傍若無人に暴れまわってますからね。
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全国でサルやシカ、イノシシ、クマなどによる獣害が広がっていますが、みなさんがお住いの地域は如何でしょうか?
滋賀県では一時期イノシシの被害がかなり多かったのですが、何年か前に豚の感染症が流行った時にイノシシも数が減ったそうです。入れ替わって最近はシカの食害が深刻になってきています。
昨年秋には秋田県でクマを駆除したことで抗議の電話が殺到したというニュースがありましたよね。
いずれにしても、人間と野生動物の共存は大変難しいのです。では、どうして彼らは人里に降りてくるようになったのでしょうか?その主な理由は次のように考えられています。
人口の減少や高齢化による人間活動の低下、里山の荒廃などによって、野生動物の生息域と人間の生活圏の境界線が曖昧になった。
温暖化や広葉樹の減少によって山中での餌の確保が困難になっている中、人里では栄養価の高い食べ物を簡単に得ることができる。
実は人間はそんなに怖くない存在であり、尚かつ人里は外敵に脅かされない安全な休息場であるということが動物たちにバレてしまった。
私が特に問題だと思っているのは、彼らが人里へ子どもたちを連れてやってくることです。このことによって子どもたちは上の3点を学習し、その情報は確実に次世代へと受け継がれていくのです。
どうしたもんでしょうね。人間の生活や命が脅かされることはもちろんあってはならないし、だからと言って、動物たちの命を軽んじることもしたくないですからね。
できたら彼らには「人間は迂闊に近づくと怖い存在なんだ」ということと、曖昧になっているテリトリーを再認識してもらいたいものです。
こちらは増えすぎたシカやクマ、イノシシを狩って食肉として流通させ、地域の特産品として販売するというアイディアですね。調べてみましたら、全国各地でこうした取り組みが広がっています。
うん、この方法だと野生動物を適度な数に制限できるから、先ずは獣害が減ります。狩った動物たちも(可哀そうですが)食肉として食べるので決して無駄にはなりません。しかも過疎化の進む地域おこしの材料にもなりますから、これは一つの解決策だとは思います。
しかし、ですよ。たとえこういった対抗策を打ち出したとしても、これからの日本はますます人口が減って、一層過疎化が進みます。
人口減少に伴い、2050年にはすべての市区町村のうち、3分の2を上回る122の自治体で人口が5000人未満になると推計されています。また、日本の人口は2070年には8,700万人にまで減少すると予測されています。これは、2020年の1億2,615万人から7割以下に相当します。
人口減少は全国一律に起こるのではありません。都市部では緩やかに、地方では急激に起こります。ですから、地方では橋や上下水道などのインフラ整備がままならなくなって、これまで細々と人が住んでいた山村の多くは廃村になるでしょう。山林の荒廃は進み、耕作放棄地も一層増えるにちがいありません。
そしてそこは野生動物たちのパラダイスになります。打ち捨てられた廃屋は彼らの絶好の隠れ家になりますし、庭木として植えられていた柿の木や柑橘類は毎年たわわに実をつけるんですもん。
これらのことは我々人間にとっては困ったことに違いありませんが、この流れは止めようがありません。これは長年人間が支配し、管理していた環境が人間の撤退によって自然に還っていく過程なのであって、しかもそのスピードは我々が考えている以上に速いのです。
私の住む滋賀県北部には、かつては大勢の人が住んでいたけれど、様々な事情で廃村になった村がいくつか点在しています。また、数百年前にはたくさんの大伽藍が立ち並んでいたとされる山岳寺院跡もあります。しかし、それらは長い年月とともに今はみなほぼ自然に帰しています。
こうして自然と人間の力関係が変化することで、新たな境界線が否応なく引き直され、数の減った人間は小さなコミュニティーに寄り集まって生活をする。そんな未来が間もなくやって来るのではないでしょうか?
人間の住む場所へ現れ出した野生動物たちは、自然が人間に差し向けた先兵隊なのかもしれません。(^^;)
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