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刈られた植物の生存戦略 彼らはどう生き延びるのか
前回の記事で植物のコミュニケーション能力について書きました。今回はその続編です。
畑周辺の草が勢いを増して、いよいよジャングルになって来ましたので、最近私はセッセと草刈りをしています。
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でもね、この作業は結構なお手間入り。なかなか一度にはできないから、野積みして順番待ちさせておくのですが、最近はお天気がいいので二日も放置しておくと表面から草がどんどん乾燥していくんですよね。
実は植物は刈り取られると同時に乾燥ストレス信号が走って、水分の蒸発を止めるために細胞壁が硬化します。こうして自分自身の生存確率を上げているのです。
一般に乾燥ストレスを感じた植物は、細胞成長モードから、成長を抑制して乾燥に耐えて生存率を高めるモードに切り替えます。その過程で、細胞壁の構造も細胞成長を抑制するようなモードに変わり、細胞壁の伸展性を低下させ,硬くなることが、これまでの多くの研究から知られています。
細胞伸長中の細胞壁は一次壁からなり、その主要な成分はセルロースとヘミセルロース、ペクチンですので、これらの分子の状態が変わると考えられます。この時の変化は、これらの多糖類の組成が変わるというよりは、むしろ、その構造や分子間の相互作用が変わると考えられています。
(中略)
ひとたび器官が植物体から切り離されたり,根からの水分供給が絶たれれば,初めに書いたような乾燥ストレスを植物組織が感知し,細胞壁の代謝モードが急激に変わり,硬化などを含めた構造変化が起こります。
乾燥耐性で持ち堪えられない程度に乾燥が進めば組織はネクロシスにより枯死しますので、その後は細胞の機能としてではなく、植物遺体として様々な反応が進むと考えられます。その中には、残存している原形質内や細胞壁中の酵素の働きによる細胞壁成分の分解や重合反応なども含まれます。
刈り取られた草はこうしてどんどん固くなって、最終的に枯れ草になります。こうなると、生の時より分解しにくくなって、好気発酵で堆肥化しようとしている私としては大変困るわけです。(^^;)
以前に物置を整理していたら、何十年も昔の稲わらが当時のままの姿で出てきて驚いたことがあります。枯れた植物は完全に乾燥した状態だと腐らないんです。考えてみたらドライフラワーも朽ちないですもんね。
というわけで、乾いてきた青草をできるだけ急いで積もうとして作業をしていると、下の写真のような種子の塊を目にすることがよくあるのです。
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これはどういうことなのでしょうか?このことについても調べてみたのですが、学術的な記述は見当たりませんでしたので、ここからは完全に私の推測です。
ひょっとすると、花の状態で刈り取られたハルジオンやタンポポは、刈り取られて乾燥が始まった瞬間に緊急信号を出して、成長モードから子孫を残すモードに急激に切り替えるのではないでしょうか?そして、最後の力を振り絞って、強制的に今咲いている花を種子にしてしまう。こうすれば、このまま自分はダメになっても、種を飛ばすことで子孫を生きながらえさせることができますから。
植物がもししゃべれたら、「うわー。やられたっ!大変だ大変だ。だんだん身体が乾燥してきた。私はもうダメかもしれん。せめてお前達だけは遠くへ飛んで行って、何とか命を繋いでくれよ。バタッ。」と言っているんじゃないでしょうかね。(^^;)
もともとパラシュートのような綿毛の種子ですが、これはまさに事故に遭った本体からの緊急脱出用のパラシュート。
もし、植物が意識的に自身を乾燥に耐えて生存率を高めるモードに切り替えると同時に、咲いている花を種子にして飛ばす行為を行っているとしたら、植物ってホントしたたかな生き物ですよね。
でもね。もし堆肥の中にこの種子が大量に入ったら、せっかく最後の力を振り絞って種を作った植物たちに申し訳ないし、ヘタをすると畑がタンポポだらけになる可能性もあります。ですから私はできるだけ種子をフーッと吹き飛ばして、材料に混入しないように注意しながら草を切っています。
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それでも堆肥の中に混入してしまった種子はどうなるのか?堆肥を作る過程で好気発酵がうまく進むと、6~70℃くらいまで発酵熱が上がります。大半の種子はそれで不活性化するのですね。(^^)
うーん。
なんか、すごく悪いことしてる気がしてきたぞ。
私って酷いやつだな。www
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