ともしび日記 6月23日
先日ヴーヴ・クリコのイベントに参加してきた。
原宿駅出て左手の橋の手前にあるビルの一面が
象徴的なクリコイエローでパーンと目に入って来る。
華やかで大胆なヴーヴ・クリコにぴったりである。
そもそも私はシャンパン、それもヴーヴ・クリコが大好きなのに「ヴーヴ・クリコ」が
「クリコ未亡人」という意味であることを全く知らなかった。
今回マダム・クリコの生涯を2ページで漫画にしろと言う白目剥くレベルの超絶高難易度オーダーを受けたので、参考にとお話をたくさん聞いた。
クリコの人生はかなりドラマティックだ。
ワインの造り酒屋に嫁いだのだが、27歳の時に跡継ぎである夫が若くして亡くなってしまう。
残された義父がいっそ畳むか、みたいな弱気モードになっていたところから
なぜか単なる嫁のクリコが覚醒して
同じ年に収穫された葡萄だけを使った「ヴィンテージ」と呼ばれるシャンパンを初めて醸造したり
自社製品にマークつけてブランディングしたり
現代の意識高い系起業家みたいなムーヴで
地方の造り酒屋だった嫁ぎ先を
一気に超有名メゾンへと成長させてしまうのだった。
日本だったら朝ドラ間違いなしの細腕繁盛記である。
その話の最中ずっとクリコがクリコが言ってたから
久里子、みたいな気分で聞いてしまい
友達みたいな気になった。
18世紀当時のフランスは(フランスに限らず世界的にもそうだったと思うけど)女性が起業したり
お店を開いたりする権利は認められておらず
唯一の例外が、夫や親のやっている店、もしくは事業をやむを得ない事情により引き継ぐ場合だけだったそうだ。
やむを得ない事情と言うのは病気で寝たきりとか
クリコんちみたいに亡くなったとか、不幸な状況に限られている。
そんな中で同業者男ばっかりの中、大成功を収めたクリコ。きっと大変な苦労をした事だろう。
そのせいかたったひとつ残された彼女の肖像画は
女装した貫禄のあるお爺さんみたいな感じだ。
若いうちには忙しくて肖像画を描いてもらうような時間も無かったのだろう。
250年経って草間彌生さんに額縁ごと肖像画の上に
水玉模様描かれたり私に漫画にされたりするなんて
数奇な運命だよね。
どうせなら美しく描くよ!クリコ。
そう思ってかなり美形に描いてしまった。
喜んでくれてるといいのだが。
そしてそんなクリコへのリスペクトもあって
今回のイベントは会場のデザイナーからレストランのシェフも全て女性がプロデュースしている。
私はクリコイエローと呼ばれるヴーヴ・クリコのラベルの色からのピンクへのグラデーションがもともと大好きなので(シュガルンだとそこから更に紫へとグラデーションが移行する)
作品の中に描いた葡萄の葉にもそのグラデを使ったのだが、偶然にも今回のテーマカラーと同じだったのでそれが一番嬉しかった。
しばらくは展示もやっているので
原宿に行ったらぜひ見ていただきたい。
入場は無料。
明るい気持ちになるイエローとピンクのグラデーションに囲まれてロゼのシャンパンで乾杯したら
梅雨の憂鬱さも少し晴れるかもしれない。
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ロンパースルーム DX
安野モヨコ&庵野秀明夫婦のディープな日常を綴ったエッセイ漫画「監督不行届」の文章版である『還暦不行届』の、現在連載中のマンガ「後ハッピーマ…
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