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0409_私の孤独
大雨だった。雨粒も大きければその勢いも強い。風もびゅうっと強く吹くものだから、歩き出した足をぐっと地面に押し付けるようにして止まらなくてはならない。
このとき、私はどうにも一人ぼっちだなぁと感じる。
同じようにその場に踏ん張ってくれる人もいないことはないが、私ほど力を込めているようには思えない。だから、私の仲間はおらず、たったの独りぼっちである。
程度は違えど踏ん張っているのだから仲間でいいじゃないか。
そう言う考えもあるだろう。
でも、私は同じところで、同じ気持ちで、同じ力でそこにとどまっている人こそが私の仲間なのだと思いたい。もし、そんな仲間がいたならば、私の全てを共有し、相手の全ても共有し、まるでお互いがお互いであるように、一緒に生きていきたい。愛でも恋でも家族でもなく、言うなれば同じ存在として。そうしてやっと、私は本当に安心することだろう。やっと、出会えたと泣くことだろう。
と、そんなことを思ったところで、周りを見渡しても仲間はいないのだった。
びゅうびゅうと、より一層強い風が吹き、私はより一層力を込めて地面に足裏を押し付ける。ビタリと止まり、まるでそこだけ静止画のように。
「あぶなっ」
右前方から声がする。
「おっ」
後方からも声がある。
「・・・・・・」
前方少し先に年配の方の踏ん張りを見る。
強風に、方方で声がして、見れば各々で踏ん張っている。時々よろける人もいて、恐らくその踏ん張りの強さにはばらつきがある。
「あ」
びゅーっと言うひとつの強い風がまた吹いたとき、私や幾人かの足元はよろける。他の何人かはよろけてなどいなかった。
そして私は気付いた。
同じ強さの人などいない。それこそが、皆同じなのだ。
瞬間、私の孤独は無くなった。
皆違って皆同じ。
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★著者:あにぃ