9月27日 歯ヂカラ探究月間(1日~30日)
小さな頃から楽しみだったのは、遠方に住む祖父母が時々送ってくれる荷物だった。
中身は主に食材なのだが、例えば幼稚園のころには溶けやすいビスケットだったり、キャラクターものの魚肉ソーセージなんかも入っていた。小学生になると、飴やチョコレート、スナック菓子なども入るようになり、一人っ子の僕は全てを独り占め出来ることもあって毎度ホクホクになるのである。
ただ、中学生になった今年、お菓子の内容ががらりと変わった。
やたらとガムが多い。
「ばあちゃんさ、最近は何でガムをたくさん送ってくれるの」
今年に入って3度目の荷物が本日届き、お礼の電話を掛けた。やっぱりガムが多くて、思わず聞いてみる。
「だぁってねぇ、もう秋司も中学生じゃろう。なにを好んで食べるのか見当もつかんからなぁ」
「俺、まだ全然チョコレートもポテトチップスも食べるよ」
「そんな事言ってもねぇ」
言い返す僕に、なんだか歯切れの悪い返答をする祖母。しまった、言い方が悪かったか。
「いや、もちろんほら、嬉しいんだけどね、うん、ありがとう」
「まあ、そうねぇ、礼子に聞いてみたらいいわ」
礼子は祖母の娘、つまり僕の母である。
「母ちゃんに?」
「お、やっと気づいたか」
早速聞いてみたところ、その顔から母のいたずらか何かだと分かり、すでに僕はあきれ始めていた。
「じいちゃんばあちゃんにお願いしたんだよね、お菓子じゃなくてガムにしてくれって」
やっぱり。僕は理由を問いただす。
「いつも結構大量にお菓子を送ってくれるじゃない?で、うちは私もお父さんも甘いものをあまり食べないから、結果あなたが全部食べちゃうでしょう?」
確かにここ数年で少しずつ体重が増加していた。けれど育ち盛りだからこんなものだろうと思ってもいるのだ。それだって、今年に入ってはやせてきている。
「なにより君の歯が心配でさ」
「歯?」
「そうそう、太るとかそう言うのは成長期の今はあまり気にしていないけど、歯はさ、大事にしないと一生モノを失うことになるから」
言われてみれば確かにそうだ。太ったならばやせれば良いけれど(もちろん病気になってはいけない)、歯は一度なくせば戻らない。
「それでね、送るならガムにしてって、リカルデントにしてもらった」
なるほど、そう言う理由からか。でもってやっぱり母の仕業だったのか。
「でも正解だったでしょう?送られてくるお菓子が減ってその分ガムを食べているから、君、今年に入ってちょっと顔つきもしゅっとしてきたんじゃない?それに歯科検診も今のところ引っかかってないでしょ」
そうだ、実際痩せてきているし、歯医者に行っても治療はない。
「・・・・・・ガム効果?」
「もちろんそれだけじゃないけどね、でもそれもあると思うよ」
そう言うと母はなにやらふふふ、と笑い始めた。
「歯の再石灰化だけでなく、息子の再健康化まで担ってくれるとは・・・・・・CPP-ACP、恐るべし」
知らない英語をぶつぶつ言う母の方が僕は恐ろしい。
「でも、お菓子が良いならそう言おうか?」
まだ笑ったままの顔で母が聞く。
僕は決まった答えを言うのである。
「いえ、このままガムで」
健康はなににも代え難いのだ。
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【今日の記念日】
9月27日 歯ヂカラ探究月間(1日~30日)
歯を丈夫で健康にするガム「リカルデント」などをブランドに持つ株式会社モンデリーズ・ジャパンが制定。夏は食生活が乱れがちで歯の体力=歯ヂカラも弱まる傾向にあることから、食生活をリセットする機会でもある9月1日から30日までの1ヶ月間を、歯が本来持っている力を見直し強化するなどの探究時期にしようと提唱したもの。
記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
https://www.kinenbi.gr.jp の許可を得て使用しています。
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