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0807_猫が回る
目が回るほどの忙しさだったから、目が回るってどういうことだろうかと、私は目を回してみた。
回せるには回せたけれど、すぐに途中で止めてしまった。くらくらするし、目が痛くなる。そして、こんなことは無意味であった。
忙しいから、目なんて回している暇はないのだ。私は再び手を動かした。猫の手も借りたいとはどんな感じだろうかと、私は両手の指を曲げ、いわゆる猫のポーズをとってみた。それで、キーボードを打とうとしたのだが、全く持って思うように文字が打てない。これは、猫の手ならばいらないなと思って、私は両手の五本の指をパッと開いた。カサついた音で「パッ」となったのが少し面白かった。
ところで、こんなことをしているうちは、私はきっと忙しくはないのだろう。心がせわしないのだが、それはきっと気のせいなのだろう。ひとまず、目を閉じてゆっくりと深呼吸をしてみる。
私の目は回らないし、猫の手はいらない。だからきっと、そうするよりも仕事はできるはず。
終業間際、私はパソコンを閉じた。
明日から頑張ろうと思う。
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★著者:あにぃ