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1201_暖かい眼鏡

【140字小説】
冬は冬のくせに冬ではなかった。暖かい日差しが私の頬を差し、じわじわとその範囲を広げた。やがて冬の日差しで私の全身が温まり、その熱で優しくなれたらいいのに。そんなことを思いながら空を見上げる。曇った眼鏡では明るい空は見えないでいる。私は眼鏡を外し、レンズを磨く。その眼鏡はもう暖かい。

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