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3月24日 ブルボン・プチの日
私は決まり事が好き。
タイムスケジュールが好きだし、ルーティンや習慣というのも好きである。
朝起きたら、ベッドから右足を最初に降ろす。カーテンを開けて思い切り両手を拡げて伸びをする。それがたとえ雨でも。
「生きづらくない?」
隣の席の片瀬が言う。相変わらず今日も机の上が大層賑やかである。
「そうでもないよ。習慣になっちゃってるのも多いし、それはそれで選択の必要がないから脳も疲労しないし」
私が書類を整えながら言うと、同じものを見たいのか、自分の机の上をがさがさと探し始めた。遠くの山から発見されたらしく、安心した顔が見て取れる。
時計を見ると11時になっていた。私は書類を引き出しにしまい、小さなかばんを持った。
「お昼休みいただきます」
「あ、まって。今日は外だよね。私も一緒に行く」
慌ててかばんを持った彼女が立ち上がる。
「そんな嫌そうな顔しないでよ♫」
顔に出ていたらしい。眉間のシワを整えておく。
「今日はそばだっけ?」
「うん、そう」
私は普段、お弁当を持参しているのだが、毎週水曜日だけはそばを食べに外に出る。それは好物がそばであるからだが、流石に茹でたてのそばをお弁当には出来ないので週に1度の外ランチと決めたのだ。
「お店も決まってるの?」
「うん、そこ行くけどそれでいい?」
「もちろん。ついていきます。あっ!」
ついていくと言うなり、道を行くと彼女は足を止めた。
「プチシリーズだ。ここ全部揃っているんだ」
早速寄り道かと私は軽く息を吐く。
「ね、どれにする?」
彼女は嬉々として顔を向けて私に聞いた。この無邪気さで仕事が出来るのだから悔しいったらない。私は半ば投げやりに答える。
「えー、じゃあもう1番スタンダードなやつ」
「色んな味が24種類もあるのにスタンダードもなにもないよ」
そう言って笑いつつ、1つを渡してくれた。「クッキーよりサブレ派だったよね」
それはコーヒーに合いそうなアーモンドサブレだった。クッキーよりサブレ派······。相変わらず適当なことを言う。
「別に違うけど。でも美味しそうね」
「でしょ!私はいつものプチポテト」
そう言えば、彼女はよく隣の席で小さなポテトチップスを食べていたが、これだったのか。彼女もそれを手に取り、二人してレジに向かう。お昼休みだからか意外と混んでいた。
「24種類もあると迷っちゃうね。でも、1日1種類としたら平日は全てこのおやつでいけるね」
「そうだね、甘いのもしょっぱいのも揃っているから同じプチでも色々楽しめるかも」
そう考えると、いつも悩んでしまうおやつのルーティンをプチで組んでみてもいいかも知れない。大体の価格も決まるし、おやつで悩むこともないし、これなら常備もできる。
「また決まりごとにしようとしてるでしょ」
顔を覗き込まれて、まさに図星である。
「ルーティンにしないでよ。24種類もあるんだから、毎日どれにしようか選べるってところが幸せなんだから」
「決めておいた方が楽じゃない?」
私が聞くと、彼女はニィと笑う。
「楽な幸せもいいけれど、好きに選んで美味しい幸せもたまにはいいじゃない」
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【今日の記念日】
3月24日 ブルボン·プチの日
新潟県柏崎市に本社を置き、数多くの人気菓子を製造販売する株式会社ブルボンが制定。同社が1996年から販売する「プチシリーズ」は手軽に食べられる大きさのビスケットや米菓、スナック類など24種類。そのバラエティ豊かな品揃えと、色とりどりの細長いパッケージで人気の「プチシリーズ」をさらに多くの人に楽しんでもらうのが目的。日付は24種類にちなんで毎月24日に。同社は「ブルボン・プチの日」の愛称を「プチの日」としている。
記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
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