
2月21日_マシではない
【140字小説】
まだ泣いていないから大丈夫だと清野は思っていた。自分よりも大変な人は大勢いる。23時10分に「お先に失礼します」と言えて終電に間に合った私はまだマシかも知れない。そうも考えた。都会ではない地元の駅に降り立つと、人も灯りも清野を迎えることなく目を閉じていた。清野は思い直して泣いた。
【140字小説】
まだ泣いていないから大丈夫だと清野は思っていた。自分よりも大変な人は大勢いる。23時10分に「お先に失礼します」と言えて終電に間に合った私はまだマシかも知れない。そうも考えた。都会ではない地元の駅に降り立つと、人も灯りも清野を迎えることなく目を閉じていた。清野は思い直して泣いた。