0510_今日の私を
朝、昨日より早く起きることが出来たので1点。ため息つきながらも何とか会社に行くことが出来たので1点。隣の上司が苦手すぎてまだ何もしていないのに席にいるだけで泣いてしまいそうだったけど、泣かなかったので1点。さらにさらに、勇気を振り絞って聞かなくてはならないことを聞けたから3点あげちゃう。
で、聞いたはいいけど、「で?どうすんの?」と言われて一瞬にして固まった。
積み上げた6点はなんとキレイに砕け散った。
「いや、悩んでって言ってるんじゃなくて、聞いてるだけなんだけど」
上司にしたら普通の態度なんだろうなと思いつつ、私の目は盛大に泳いでいるだろうと自覚できる。何もしてないし、何もされてないんだけど、この空気が苦手なんだろうなぁ。
そこで、私はポケットに忍ばせている小さなカエルのぬいぐるみを握った。狭い狭いポケットのなか、真っ赤なカエルと目があった。カエルは私にその大きな目を向けている。
私は目を閉じて、開く。
「確認して後ほどお伝えします」
言ってから小さく頭を下げてすぐ、机に向いた。
「うん、急がないからよろしくね」
なんということはない上司の態度に安堵して、私は心でガッツポーズをする。
私は、私の仕事を全うした。
今日の私は100点。
ポッケの中のカエルとハイタッチするふりをして、私は小さく笑った。
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★著者:あにぃ